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尖ったカメラ「SIGMA dp0 Quattro」の使用感と作例

(この記事は約10分でお読みいただけます)

 

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SIGMA dp0 Quattro

 

「リーズナブルなのにプロフェッショナル機レベルの写真を撮りたい。」

値段と解像度と一眼特有のボケ味を求めた私が、他社含めたくさんのカメラの中から吟味して2016年9月8日に購入、およそ9か月使用しました。

Twitterにて「dp0購入したよ!」と投稿した際には、たくさんの方が興味を持たれた印象で、いつか詳しくご紹介したいなと思った次第です。
(そのツイート黒歴史クリーナーで消えちゃった...ゴメンネ..)

 

気になる皆様へ、購入を迷う皆様へ。
作例を交えながらユーザーならではの使用感をお伝えしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

忙しい人向けざっくり解説

  • ズーム機能なしの単焦点レンズ
  • 写真のみ、動画は撮れません
  • 手振れ補正機能なし
  • 使う人を選ぶ
  • 奇抜なデザイン、だけど持ちやすい
  • 直観的に操作可能
  • 解像度素晴らしい
  • 撮影環境・状況を選ぶ(低感度必須、暗い場所、早い被写体は苦手)
  • ソフトウェア「SIGMA Photo Pro」レビューほど悪くない、むしろ良い
  • バッテリー持ち悪くない

 

 

 

 コンセプトと顧客ターゲット

いきなりですが、こちらの動画をご覧ください。
SIGMAの山木社長が2014年のCP+でQuattroについて熱く語った動画です。

音声だけ聞きながらこのブログを読んで頂いても楽しめるかと思います。

www.youtube.com

解像度が高くリーズナブルなカメラを吟味している際に、上の動画を見つけ、その独特なカメラと社長の考え方に惹かれていきました。

コンセプト「Foveon Look(リアリズムのある質感表現)」やたくさんのこだわりを語る中、こんな事を仰ってました。

24:08~(一部抜粋編集)

このカメラは2人しか乗らない荷物も積めないハイパワーなスポーツカーのようなもので、ミニバンを求めている方にはお勧めできない。

でもすでにミニバンを持っている方には最高性能なスポーツカーを買って頂いてもいいのではないか、と思っています。

なんともすごい例えですよね笑
この言葉で更にグッと惹かれ、購入を決意しました。

 

同社Quattroシリーズでは、

dp0:超広角レンズ
dp1:広角レンズ
dp2:標準レンズ
dp3:中・望遠レンズ

の4点がありましたが、寄れるし離れても撮れる超広角を選択しました。

 

 

 

 

 

斬新なデザイン、それゆえの使い心地

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まず目を惹くのはこのカタチですよね。
賛否両論あるそうですが、私自身は大変美しく感じます。ワクワクするでしょ!

ボディはつや消しブラック、単焦点レンズ筐体のみ鏡面。高級感ありますね。

 

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ディスプレイとボタン配置。シンプル。

 

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上には電源ボタンとMODEボタン、そして前後のダイヤル2つとシャッターボタン。これまたシンプル。

 

「これはカメラである。」という我々のスキーマを壊すことなく常識をぶっ飛ばしたそのデザイン。美しいだけではなく、人間工学的に理にかなっています。

従来カメラの”握らせて示指でシャッターを切る”というより、いろんな持ち方が出来る自由度の高い構造。私は握りこんで母指でシャッターを切るのが好きです、安定します。

 

前後2つのダイヤルには絞り露出補正が割り振ってあり、直観的に操作できてとても使い易い。
ダイヤルの割り振りも設定によっては少々変更可能です。

 

 

 

使用感とネックポイント

 どこのレビューを見ても書いてあるので割愛したいところですが、私も書かせてください。

解像度すごすぎる!

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ピントが合った部分は細部までカリッカリに描出されます。撮った写真を拡大してそのまま作品として使っちゃっても問題ないレベルではないでしょうか。

 

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 コーヒー豆の部分をズームに。カリッカリでしょう。

 

 ワインのツマミに作ったカプレーゼ。

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カプレーゼのズーム。

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みずみずしいトマトととろけるモッツァレラチーズ、悪くなりかけのバジル。素材の質感までキレイに映ってます。
悪くなりかけのバジル恥ずかしい...笑

 

シャッターボタンを押した瞬間に少しブレてしまうのを防止するために、 セルフタイマー2秒が設定できるのも嬉しいところです。

 

 

そんなトンデモ解像度のカメラ。
その尖った特徴ゆえのネックポイントをご紹介します。

ここまで細部への描出をこだわるカメラだけあるので、撮影時のブレは極微量ですら許せないわけです。

でもこのカメラ手振れ補正機能がないんです。

このカメラで写真を撮ってみれば、いかに普段よりカメラの手振れ補正機能に助けられているかがわかると思います...笑

 

「それならシャッタースピードを速めるためにISO感度上げればいいんじゃない?」

そんなお声が聞こえてきそうですが、このカメラは非常に高感度に弱く、感度を上げるほど顕著にノイズが入ってきます。個人的にはISO100~200で撮りたいところ。
ISO400もギリギリ許せますが、持ち味の繊細な描出力にノイズ入ってきちゃうなら他のカメラ使ってしまうかなという感想です。

別売りのフラッシュを付けるのもアリですが、お金がかかってきちゃいますし、少々面倒な気がしますね。

 

最初にお伝えした「撮影環境・状況を選ぶ」は上記理由からきます。

だからこそ、夜間・曇天下での撮影や素早く動く被写体への撮影は苦手のように感じるのが素直な感想です。

 

 

 

ネックポイントを克服するSIGMA Photo Pro

そう、あくまで、夜間・曇天下での撮影や素早く動く被写体への撮影は苦手なんです。
苦手。決してダメではない。

それを克服してくれるのがソフトウェアSIGMA Photo Pro(SPP)です。

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このソフトは編集力といいますか、エフェクトがバリバリ効きます。

真っ暗な写真も露出等弄っていけばキレイな写真にする事が出来ます。ノイズも案外のらない。

乱暴な言い方をすれば、低感度(ISO100~200)で撮影して、状況によっては速い被写体がブレずに収まるレベルで撮影して、後々露出等を編集しちゃえば良いと思います。

 

やれ「ソフトが重い」とか「使いにくい」とか、散々言われておりますが、私個人的には非常に使い易いなと思います。
そりゃ5424×3616の高画質な写真を編集したら重くなるでしょうに...。

 

 

 

SPPで克服しても問題点はある

「ソフトとの連携で暗い環境も速い被写体もイケるなら、最強カメラなのではないか。」

そんな淡い期待を持たれた皆様を突き落とします。
いちユーザーゆえに問題点もお伝えしなければなりません。

 

SIGMA dp2 Quattro 不祥事案件その1 暗部の解像度が低い。 2014/07/02: maroの雑記帳
SIGMA dp2 Quattro 不祥事案件 その2 ビアガーデン現象 2014/07/03: maroの雑記帳
SIGMA dp2 Quattro 不祥事案件 その3 長時間露光でドロドロ 2014/07/04: maroの雑記帳
SIGMA dp2 Quattro 不祥事案件 その4 雲のディテールが消失 2014/07/12: maroの雑記帳
SIGMA dp2 Quattro 不祥事案件 その4 は何とかなる? 2014/07/12: maroの雑記帳
以上リンク先は「maroの雑記帳」より。

 
上記リンクの問題はすべて事実です。
Merillでは起きていなくて、Quattroでは起きている。

この異常なまでの描出力を付加したFoveonセンサーのアルゴリズムにどこか不備があるのかはわかりませんが、極端に描出力が落ちる部分や瞬間があるようです。
この複数の問題を検証された方々がたくさんいらっしゃいますが、条件によっては問題点が出たり出なかったり。

今後のファームウェアアップデートやSPPのアップデートで改善されるかもしれません。

ちなみにですが、私個人が使用している上では上記問題点に苦しめられる事はありません。

 

 

 

 

 

その他の使用感

バッテリー持ちは確かに良くはありませんが、使わない時には電源を落としていれば1日は持ちます。
標準で2つバッテリーがついてくるのも安心ポイントですね。

 

別売りのアクセサリーも豊富で、用途に合わせて様々なカスタマイズが可能です。

私はLCDビューファインダー:LVF-01を同時購入しました。全部付けるとこんなかんじ。

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なんだこれは...(驚愕)
なんだかものすごい見た目になります。つよい(確信)

外での撮影の際、顔に押し付ける事でブレをさらに抑えられるので重宝しています。

 

せっかくなので、本個体dp0 Quattroで撮った写真を見てください。

 

 

dp0 Quattro作例

 雪国ならではの光景。

同じ場所で日の出撮影、トリミング済。

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スタンドライト「QisDesign Coral 45」をズームしてトリミング。
波打つアクリルの質感が表現されていて素晴らしい。

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Canon Kiss X50。先ほどの写真をモノクロに編集。
柔らかなボケ味も表現できてますね。

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みんな大好きモンスターエナジー。

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趣味のエレキギター Suhr Modern。

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なかなかに良い映りでしょう!笑

ブログへの画像うpは画質が落ちてしまうのが悲しいところですね...。

 

 

 

問題点を考慮してもやっぱり好き

問題点や苦手な部分があっても、素晴らしいカメラかなと思います。

同社Merill個体の描出力には凄まじい物を感じましたが、バッテリー持ちと書き込み時間でいかんせん手軽とは言えなかった。
そこでMerillの高解像度を残しつつ、ある程度の手軽さとともに独特なデザインを合わせて発売したQuattro。

被写体を考え、光源やカメラの詳細を設定。
グッとホールドしながら呼吸を整え、シャッターを押す。
撮影した写真を確認すれば驚きの解像度。
家に持ち帰ってSPPで編集。最高でしょう。

私は買って良かったなと思いながら使っています。
手が掛かるほどに可愛い、そんな感覚でしょうか。

 

この価格帯でプロフェッショナル機並み、下手したら以上の描出力と質感表現。
ここまで尖ったスペックのカメラは他社では作れませんからね笑

山木社長自らが「変態カメラ」と称するこの個体、気になった方はぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

 

H29.10.15追記:
こちらの記事でも一部dp0 Quattroを使用した作例を紹介しております。

sata-0326.hatenablog.com

気になった方はぜひお読みください。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

H29.6.4更新:一部文章変更・追加
H29.10.15更新:一部文章追加、関連記事追加