(この記事は約10分でお読み頂けます。)
マクロの世界を描出する。
通常のレンズではなかなかピントの合わせにくいマクロの世界。
小さな被写体を撮る事が多い私には、クローズアップレンズは欠かせない物となっています。
「標準ズームレンズ使っているのに、小さい被写体をどうやって撮っているの?」と以前ご質問頂いた事がありましたので、せっかくですからブログにてご紹介していきたいと思います。
- ざっくりと
- マクロとクローズアップの定義
- クローズアップレンズの恩恵
- マクロ機能付きレンズかクローズアップレンズか
- クローズアップレンズを装着する
- クローズアップレンズを使用する
- 無理矢理使用する
- 作例
- まとめ・あとがき
ざっくりと
- マクロレンズ・クローズアップレンズを使用する事で最短撮影距離を短く出来る
- 画角が狭くなる
- マクロ機能付きレンズは歪みが少ない
- 対してクローズアップレンズは多少歪みが発生する
- マクロ機能付きレンズは比較的高額
- 対してクローズアップレンズは比較的安価
マクロとクローズアップの定義
大変分かりやすい解説をされているサイトがありましたので、ご紹介させていただきます。
- 「マクロ撮影」とは、撮影倍率が1/4倍かそれ以上の倍率で撮影すること
- 「クローズアップ撮影」とは、被写体をなるべく大きく写そうとすること
- 「クローズアップ撮影」とは、「マクロ撮影」を含んだ接写や近接撮影全般を指す
たびたび問題視されるマクロとクローズアップの定義ですが、メーカーによってマチマチなのは事実です。
クローズアップという大きな撮影手法の中でマクロという分野が存在するような感じでしょうか。
ややこしい話、難しい話は置いておいて、当ページでは「マクロとクローズアップは近寄って大きく写す。」という同じ意味合いにて使用していきます。
クローズアップレンズの恩恵
カメラはレンズを通して被写体を映像素子に写し写真を生成します。
カメラ本体の映像素子から被写体までの最短で撮影可能な距離を最短撮影距離と言います。
「最短撮影距離」なので、当然ですがこれ以上近寄るとピントが合わず撮影出来ません。
小さい被写体を撮ろうとグンと近づいたらピントが合わなくて撮れなかった、なんて経験をされた方も多いと思います。
これを更に近づいて、小さな被写体を大きく撮影可能に出来るのがクローズアップレンズです。
詳しい撮影距離等の計算方法についてはn倍煎じとなりますので、大変分かりやすいサイトをいくつかご紹介させていただきます。
被写体に寄ってもピントが合う、画角が狭くなるの2つが特徴ですね。
このクローズアップレンズはいわばルーペのようなものですので、光学的要素の露出倍率やシャッタースピードは変化しないというのも特徴です。
マクロ機能付きレンズかクローズアップレンズか
どちらも一長一短。
どちらが良い、どちらが悪いというものではありません。
当然ですが、レンズのアライメントやディストーション(画面の歪み)を考慮するなら確実にマクロ機能付きレンズです。
微細な範囲すらも完璧なパースペクティブで描出するならこれに敵うものはありません。
しかしマクロ機能付きレンズは非常に高額です。
これはなかなか...。ちょっと買おうかなレベルで手が出ません。
対してクローズアップレンズは比較的安価。
今あるレンズでマクロエリアを撮りたいのでしたらクローズアップレンズを購入する方がお得ではないでしょうか。
しかし先述通り、クローズアップレンズは多少なりともディストーションが出てしまいます。
方眼紙やマス目のついた物の上で撮影するとディストーションが顕著に確認できます。
環境さえ変えてしまえば、違和感はなくなります。
出来るだけ撮影環境をごまかしながら撮影したい所ですね。
クローズアップレンズを装着する
私が数年前に購入したクローズアップレンズ。
Kenko - AC CLOSE-UP No.5
Kenko製のレンズで、No.1〜No.10までラインナップされている中の5番目です。
ナンバーが上がるほどに更に被写体との距離が寄れるようになっています。
このクローズアップレンズは組み合わせることで更に接写が可能となります。
いわゆる「虫の目カメラ」のような、ドアップでインパクトの強い写真にも対応可能です。
ちなみにですが、お持ちのレンズ径とクローズアップレンズ径が合わない場合には、ステップアップリング・ステップダウンリングを使うとカッチリ付けられます。
お安いですし一眼をお持ちなら1セット持ってても損は無さそうです。
私は間違ったサイズのクローズアップレンズを購入してしまったので持っています(笑)
さてこのクローズアップレンズですがレンズフィルターをつける感覚で、レンズ先端にねじ込んで取り付けます。
取り付けるとこんな感じ。
レンズがちょっと伸びたような感じですね。
Canon EOS X50+標準ズームレンズに取り付けております。
個人的にはスタビライザー(ブレ防止機能)が付いたズームレンズで使用するのがオススメです。
このクローズアップレンズは細かい部分にピントが合うので、微細なブレが大きく出てきてしまいます。
ピント範囲もシビアになってくるので、ズームレンズ+AF(オートフォーカス)でピントを合わせ、スタビライザーでブレを補正するのが簡単でカッチリはまるかなと思います。
私の愛用するSIGMA - dp0 Quattroにも付けてみました。
ものすごくイカツイ。
クローズアップレンズを使用する
何も面倒なことはありません。
いつも通り撮るだけです。
広角レンズや標準ズームの広角域では画面の四隅に黒いフチが映ることがあります。
これはケラレというもので、クローズアップレンズ筐体の一部が写っちゃっている状態です。
広角では仕方のないものです。
ズームレンズならズームする事で解消します。
画質の良いカメラであるなら、ケラレが見えたまま撮影し後でトリミングするというのもアリだと思います。
いかがでしょうか。
言われなければトリミングの違和感感じないですよね。
無理矢理使用する
このクローズアップレンズですが、一眼レフではない普通のデジカメ等にも使用可能です。
保証されていない使い方ですので自己責任でお願い致します。
使い方は簡単。
デジカメで撮影する際にレンズの前にクローズアップレンズを押さえつけて撮影するだけ。
こんなかんじ。
チカラワザが過ぎますが、これでもマクロエリアの撮影が可能です。
最近ではフィルターアダプターなる物も販売していて、デジカメにもレンズを取り付ける事が可能なようです。
(ポロッと取れてレンズが落ちそうになった等のレビューが多いのが気になりますが...。)
ちなみにiPhone等のスマートフォンでも無理矢理使用可能です。
一風変わったクローズアップフォトでインスタ映えでも狙ってみてはいかがでしょうか。
作例
ここからはクローズアップレンズ(No.5)を使用した作例をご紹介します。
モンスターと真空断熱タンブラー。
炭酸の微細な泡にピントがカッチリ合っています。
(SONY - DSC-RX100)
10分どん兵衛。
(Canon - EOS Kiss X50+EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS Ⅱ)
ノンフライのカップ麺。
(Canon - EOS Kiss X50+EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS Ⅱ)
さきほど登場した唐辛子。こんなにいっぱい何して使おう...。
(SIGMA - dp0 Quattro、トリミング)
クローズアップレンズを使いながらあえて広角気味に。
(Canon - EOS Kiss X50+EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS Ⅱ)
こちらもクローズアップレンズを使いながら広角に寄せて撮っています。
(Canon - EOS Kiss X50+EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS Ⅱ)
ピックネックレス(バックアイバール)。
(Canon - EOS Kiss X50+EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS Ⅱ)
ピックネックレス(青から黄色へグラデーション)。
(SONY - DSC-RX100)
ピックネックレス(左からバーズアイメイプル、シカモア、キルトメイプル)。
(SONY - DSC-RX100)
バッグインバッグ
(SONY - DSC-RX100)
バーズアイメイプルの木肌。
(SIGMA - dp0 Quattro、トリミング)
辻利の抹茶ケーキサンド。
(SIGMA - dp0 Quattro、トリミング)
珈琲豆。豆の割れた部分すらもカッチリ撮れています。
(SIGMA - dp0 Quattro、トリミング)
ハイエンドどら焼き。
(SIGMA - dp0 Quattro、トリミング)
画角が狭いので被写体を大きく映すダイナミックさも大きな魅力だと思います。
これを利用した作品も面白いかもしれません。
あくまで一例ですが、適当な文章やイラストを用意して、クリッピングマスクで上から画像を被せる等...。
視認性を犠牲に、画面いっぱいの被写体に文字を書くのもアリかもしれません。
クリスタ付属のカリグラフィにて描いてみました。
さながらどこぞの広告のようですね(小声)
まとめ・あとがき
クローズアップレンズの使用と作例について簡単に纏めてみました。
お財布と相談しながらマクロ機能付きレンズか、クローズアップレンズかをご選択頂けましたら良いかと思います。
手軽に一風変わった写真を撮りたい、小さな被写体を撮りたい方は是非ご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。