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革靴のシミ、厄介ですよね。
皆様ご存知の通り、革靴はとにかく水や油に弱いものです。
少しでも雨に打たれようものならすぐに対処しなければもれなくシミになってしまいます。
油ジミの場合はプロに任せる以外諦めるしかありません。
かくいう友人から授かった靴(タッセルローファー)も、泣き寝入りするしかない油ジミを作ったひとつです。
友人曰く「随分前の事だけど、ファミチキ食べてたら落としちゃった。」との事。
器用に両足に落とすのはやめてよ...
そんなタッセルローファーが靴棚に眠っていたので、シミ抜き&メンテナンスをして履くなり売るなりしようと思いたった次第です。
宜しければお付き合いください。
使用する靴と用意する物
さきほど登場しましたALDENのタッセルローファー。
タッセルローファーなんて初めて買いました。
いざ履いてみると靴紐がない分脱ぎ履きしやすくて機能的ですね。
素材はカーフレザー、カラーはタン。
ALDENの使用するラスト(木型)の中では最も細身なAberdeen Last(アバディーンラスト)にて制作されています。
履けばさながらモデルのように細身で、足元だけでも美しく見えます。多分。
SHIPS別注なのでインソール(ハーフソール)にはALDENとSHIPSのダブルネーム仕様となっています。
あと用意するものは一般的なメンテナンスセットです。
- シューキーパー
- ステインリムーバー
- デリケートクリーム
- シュークリーム
- コバインキ
- ソールモイスチャライザー
- 補修クリーム
- ブラシ(馬毛、豚毛)
- 布
などなど。
準備
まずは靴の状態を見るためにステインリムーバーでシュークリームの化粧を剥がします。
うーむ。
簡単には落ちないであろうシミや傷があります。
修復とメンテナンス
想像以上に汚れやシミ・色ムラが強いので、丸洗いする事にしました。
革靴って濡らしてはいけないイメージがあるように思いますが丸洗いできます。
丸洗いである程度の汚れやシミ・色ムラも落とすことが出来ます。
お湯を張ったバケツに容赦なくイン。
このまま浮いてこないように重りを入れて1時間ほどつけます。
長く漬けることで革の深部にまで水分が浸透していきます。
ハリのある硬かったカーフレザーがみるみるふやけて柔らかくなっていきます。
次に石鹸を泡立てて中も外も洗っていきます。
サドルソープという専用の石鹸もありますが、洗顔剤等でも問題ないと思います。
今回はサドルソープの到着が間に合わなかったので、ダヴのクリーンコンフォート泡洗顔を使いました。
泡で出てくるので使い勝手が大変良いのです。
場違いな場所で泡だらけにされるタッセルローファーに笑いながら作業を進めます。
汚れが落ちて泡が黒くなっていきます。
丁寧に泡を流したら、またお湯に1時間ほど浸けていきます。
このタイミングで紙ヤスリ(400番、1000番)を使ってタンのしつこい汚れを少しだけ落としました。
次に乾燥です。
ここからの工程は、型崩れを防ぐために常にシューキーパーや新聞紙を靴に詰めます。
靴の中に新聞紙をパンパンに詰め、風通しの良いところで立て掛けます。
踵を下にする事で重さによる型崩れを防ぎつつ、新聞紙と風で乾かすという算段です。
風通しの悪いところではカビが生えてしまいますのでご注意ください。
この日はあまり天気が良くなかったので、雨が降る前に取り込んでファンヒーターとシューズドライヤーで乾かしました。
雪国の冬は悪天候が多くてかないませんね...。
自然乾燥も含め、丸3日ほど乾燥。
タンの部分でシミが残っていますがこの程度は大丈夫です。
いくらでも誤魔化せます。
革は汚れと潤いが抜けてカサカサの状態ですので、ここからはデリケートクリーム等で潤いを与えていきます。
デリケートクリームを薄く塗布しては乾燥、を繰り返します。
待ち時間がもったいなかったので、乾燥過程でコバインキ(写真真ん中)とソールモイスチャライザー(写真左)でコバとアウトソールのメンテナンスを行いました。
デリケートクリームによって潤いが与えられた革には滑らかさと光沢が出てきます。
次にシミを隠していきます。
以前財布の傷を隠した時にも登場しましたサフィール補修クリームを使用します。
↓傷を修復した記事
今回はライトブラウンカラーです。
他にも相当なカラーバリエーションがあるので、どんな色でも対応していると思います。
相変わらずサフィールの薄め用クリームなど買っておりませんので、デリケートクリームで薄めて塗布します。
強固な塗膜が形成されるまでは放置しておくのが良いと思います。
説明書には20分ほどで良いとのこと。
ここまできたらあとは通常通りのメンテナンスを施していきます。
上の写真はデリケートクリームと補修クリームの塗布前ですが、何色のシュークリームを使おうかずっと迷っていました(笑)
せっかく明るい色合いが持ち味のタンカラーなので、一番手前のコロニルのライトブラウンを使用します。
シュークリームを少量塗布しブラシで革全体に伸ばす。
少々時間をおいた後、布で丁寧に磨きます。
見事な光沢!
ALDENのカーフレザーって当たり個体だとコードバン並に光る気がします。
これは好みでしょうが、最後につま先と踵をハイシャインにしていきます。
ローファーなのであえて鏡面までいかないハイシャインです。
今回はトラディショナルワックスを使用。
これは非常におススメしたいものでして、私が知っている限りでは一番鏡面磨きしやすいワックスです。
ハイシャイン・鏡面磨きについても後日記事にしていきたい所存です。
結構コツがいりますよね。
すべての工程が完了しました!
いかがでしょうか。
タンのシミや汚れもそこそこに隠れたのではないでしょうか。
補修クリームを盛ってシミを完全に隠すこともできますが、革の良さが消えてしまうと悪いのでこの程度で。
傷や少しの色ムラも相まって、味のあるタッセルローファーになったかと思います。
洗い立て&磨きたてはサラサラピカピカで履き心地最高です!
あとがき
随分と需要がある(らしい)革靴リペア&メンテナンスでした。
革靴は履き心地とメンテナンス性、そして唐突なセミフォーマルな場でも対応できる柔軟性から履く方は多いと思います。
私もその魅力に取りつかれた一人です(笑)
磨きたての靴は気持ちが良いですよね。
「おしゃれは足元から」
諸説ある言い回しですが、地に足がつく、人の足元を見るなど、足元でその人の品格を見極める諺が多くあります。
「靴の汚れで面接を落とした。」
「靴が綺麗だったから契約を結んだ。」
なんて話も聞きますし、お時間のある方はぜひメンテナンスしてみてはいかがでしょうか!
丸洗いやヤスリがけ工程は、失敗すると色ムラになる可能性がありますので十分ご注意ください。
自己責任でお願い致します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【2018.2.18追記】
鏡面磨きについて記事を更新いたしました。
sata-0326.hatenablog.com
本記事にてご紹介しました「トラディショナルワックス」を使用した例もございますので、ぜひお読みください!
いろんな商品を使ったらリンクでまとめて欲しいとご要望をいただきましたので、以下にまとめてみました。
よろしければお使いください。
(「欲しいものがきっと見つかります」の表示はAmazon側のエラーとのことです。もし表示される場合は、時間をおいて再度お試しください。)