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「鏡面磨き」
その名の通り、爪先や踵に靴用ワックスを塗り、磨きあげる事で鏡のような状態になる事を表します。
以前こちらの記事を上げた際に「ハイシャイン・鏡面磨きについても後日記事にしていきたい所存です。」なんて書きました。
需要があったのか、まったくブログを更新していなかった先月に、「早く鏡面についての記事を書いて欲しい。」とありがたいとお返事も頂きました。
連日革靴関連の記事続きですが、今回はこちらの鏡面磨きについて書いていきたいと思います。
なかなか上手く出来ない方、鏡面に挑戦してみようかな!という方の参考になりましたら幸いです。
鏡面磨きの仕組み
レザーを顕微鏡レベルで見てみると微細なキズや毛穴等があるため、真っ平らではありません。
この凹凸にワックスを塗り、そのロウ成分がキズや毛穴を埋める事で真っ平らに近くなります。
さらにこの表面をならすように布で磨く事で真っ平らになり、鏡のように映り込むようになります。
これが鏡面磨きの仕組みです。
なかにはパテントレザーとかガラスレザーなんて呼ばれるものもあり、革の上から樹脂コーティングをしてテカテカさせているものもあります。
そういったレザーでも鏡面磨きは可能です。
鏡面磨きのメリット・デメリット
メリット
1.キズをごまかせる
先述のとおりキズや毛穴をロウで埋めるので、つま先を盛大に引っ掛けたようなキズがあっても誤魔化す事が可能です。
2.レザーの保護
履いているうちにキズが付きやすいつま先を保護してくれます。
また、ロウ分の層が水を弾いてくれます。
デメリット
1.ロウ層が邪魔で栄養が入りにくい
ロウでレザーをコーティングしてしまうため、靴クリーム等の栄養分が中に入りにくくなります。
しかもロウ層はなかなかに強力なため、通常のリムーバーではなかなか落ちません。
シャインクリーナー、レノマットリムーバー等が必要になります。
定期的にデリケートクリーム等の栄養分を補給する方にとっては結構邪魔な存在となります。
2.芯材以外の鏡面は割れる
芯材以外の部分は履いているうちに曲がるため、ロウ層の膜が割れてしまいます。
鏡面磨きの方法
それでは実際の方法についてご説明致します。
一般的には左右の靴で40分〜60分程度かかるとは言われています。
今回使用する靴はALDEN。
一般的なケア(靴クリーム)まで済んだ状態ですので、ここから鏡面に仕上げていきます。
今回使用するワックスは有名なKIWI パレードグロスプレステージ、ブラックカラー。
初めて手にするワックスがコレなんて方も多いのではないでしょうか。
余談ですが、個人的オススメワックスはトラディショナルワックスです。
私が使ってきた中で一番鏡面しやすいワックスです。
まずは鏡面にしたい部分にワックスを塗り込んでいきます。
ここでいきなりポイントですが、ワックスは指で塗り込むのがオススメです。
体温でワックスのロウ成分が溶け、より細かなキズや毛穴まで浸透してくれます。
ワックスとの境目を自然にするため、つま先にかけて徐々に濃くしていくイメージで塗ると良いと思います。
先述のとおり、芯材の入っている部分以外を鏡面にしてしまうとロウ層が割れてしまうので注意です。
必然的にワックスはつま先か踵あたりに塗る事になります。
鏡面にしたい部分に、ひたすら薄く重ね塗りを繰り返していきましょう。
私が鏡面磨きのコツが分からず失敗していた時はこの塗り重ねがとにかく甘かったです。
左右で20分程塗り続ければ間違いは無いと思います。
次第にガラス窓を指の腹で撫でてるような抵抗感を感じるようになります。
ここからはクロスで磨いていきます。
今回は「コスパ最強!」とAmazonにて大変評価の高かったネル生地を使ってみました。
結果論ですがこのネル生地非常に良かったです!
厚手で目が細かく糸クズが出にくいので、磨き心地最高でした。
手頃な大きさに切って指に巻きつけます。
あとはネル生地に少量の水と少量のワックスをつけ磨いていきます。
私はハンドラップを使用しておりますが、無くても問題ありません。
水は2〜3滴程度で良いでしょう。
抵抗感が強くなって磨きにくくなってきたら水を足していく方法で良いと思います。
ひたすら小さな丸を描くように磨いていきましょう。
強く磨きすぎるとワックスの下の靴クリームすら剥がしてしまうので、優しくこする程度で問題ありません。
小さな丸を描き続けていると、次第に光沢と共に鱗のような見た目になってきます。
ここまできたら鏡面までもう少し!
続けて少量の水・ワックスをつけながら磨いていきましょう。
いつしか鱗模様も見えなくなったら、鏡面磨きの完成です。
靴磨きにハマった方には共感いただけるかもしれませんが、この瞬間にセロトニンがドバッと出て幸福感で満たされるのを感じますよね(?)
もちろん反対側も鏡面に仕上げました。
大変良い光沢感です。
ビフォー。
アフター。
幾分か格が上がったように見えますよね!
ピカピカです。
ちなみにですが、完璧な鏡面にしたい場合は最後にコットンに水を染み込ませて磨いてあげると細かなキズ一つ無い鏡面になります。
その他鏡面例
先程とはまた別の靴にて鏡面にした例です。
ビフォー。
アフター。
こちらでは先程ご紹介したトラディショナルワックスのナチュラルカラーを使用しました。
やはりトラディショナルワックスとても良いです...!
ロウ層が強固に出来上がるので、短時間で美しく仕上がります。
これから初めてワックス購入される方にはおススメです。
ボコボコに穴の開いたつま先でしたが、見事に誤魔化せています。
少々磨きにくいですが、メダリオン(穴の装飾)があっても可能です。
Church'sの製造方法不明と言われるポリッシュドバインダーカーフでも鏡面できました。
コードバンほどの光沢があるのに水をはじく。
でも靴クリームは吸うというこの素材。
本当にどうやって作られているんですかね、非常に気になります(笑)
あとがき
本記事ではメジャーな方法での鏡面磨きについて書いてみました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、ドライワックス(故意に乾燥させたワックス)を使用した磨き方もありますがシンプルな方法のみに絞りました。
ワックスの重ね塗りやネル生地の磨く力のコツを掴むまではとても難しいですが、慣れてしまえば簡単なものです。
お店でなくても鏡面は可能です。
ぜひお手持ちの革靴で挑戦してみてください!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。