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SlimBlade右下ボタンの調子が悪い。
つい先日の事、右下のボタンの反応が悪く強くクリックしないと反応しない状態に。「調子悪いな...」なんて思いながらもだましだまし使ってきましたが、ついに反応しなくなってしまいました。
前回調子が悪かった時には5年保証期間内でしたので交換対応して頂きましたが、今回は残念ながら期間外。
別のトラックボールに目移りしつつも、気に入っている本機を直してみました。
クリックしても反応しない
症状については、場所は違えど前回記事の時同様です。
前回は左下ボタン、今回は右下ボタンです。
クリック感は残ってはいるものの押しても反応せず。
画像の通り「右クリック」を割り当てているので作業効率が落ちて仕方がありません。
Kensingtonの「ExpertMouse」ではオムロン製スイッチを採用していましたが、こうまで同症状が頻発するということはSlimBladeはもしかして違うスイッチを採用しているのでしょうか。
分解欲がそそられますね(?)
高耐久を謳うオムロン製スイッチがこんは簡単に壊れるはずがないので、可能であればセルフスイッチ交換も検討していきます。
分解して中を確認
SlimBladeの裏側からアクセスします。
四隅と中央の滑り止めのゴムが計5箇所ありますのでこれを外していきます。
滑り止めゴムは両面テープみたいなものでくっついているだけなので、鋭利なもので引っ掛ければ簡単に剥がれます。
私はオルファのアートナイフの刃先で引っ掛けて剥がしました。
隠れていた7箇所のプラスネジを外せば中にアクセスできます。
本体の基盤とボールの回転を感知する2枚の基盤から成っています。
基盤とフレームを繋ぐ計7個のネジを外せば基盤とご対面。
おやおや...!
スイッチがE-Switch製のTL1140AF070Qですねコレ!
やはりオムロン製ではなかったようです。
基盤は思った以上に簡素な作りでビックリ。
シンプルながらも必要十分な機能になっていて感心するばかりです。
接点復活剤による修理を図る
問題の右下ボタンに該当するスイッチはこちら。
見た限り基盤がやられているわけでもないので、このスイッチ自体が問題でしょう。
とりあえず困った時の拠り所「接点復活剤」をスプレーして様子を見てみます。
楽器用ですけどまぁ良いでしょう(適当)
ボタン内に噴出し、薬剤が広がるようになんどもカチカチ押し込みます。
たったこれだけでもクリックが認識されるように改善しました。
ただ完全に直ったとは言えず、ボタンのクリック検知が少々弱い。
反応は完全状態から3割減というところでしょうか。たまに反応しない右クリックはストレスが溜まって仕方ありません(笑)
やはりスイッチ自体がへたってしまっているようですので交換を決意。
この日は交換用のパーツを注文して終了、延長戦に続きます...!
オムロン製スイッチの移植
注文より数日。
ようやく交換用のパーツが届きました。
初期スイッチのTL1140AF070Qとクリック感は違うかもしれませんが、今後の耐久性も考慮してオムロン製の「D2F-01F」を選択してみました。
他デバイスの修理にも使えそうだな~と思って5個セット買っちゃった(笑)
通常仕様のスイッチD2F-01が動作に必要な力を1.47Nとすると、D2F-01Fは半分の0.74Nで動作します。
つまり軽い力で動作するようなスイッチです。
このD2F-01FのOEMはロジクール製トラックボール「M570」にも採用されています。
このトラックボールは私も好んで使用していますが、程よく軽いクリック感と耐久性がクセになりますよね。
閑話休題。
パーツも到着した事なのでさっそく交換していきしょう。
まずは前段階として少し加工が必要です。
初期スイッチのTL1140AF070Qは2pinなので、D2F-01Fも同様の状態にしなければなりません。
オムロン公式サイトの接点構成図を見ながら不要な右側の足(NC)を切り取ました。
これでスイッチを押している時のみ左(COM)と中央(NO)の足が接続されるモーメンタリスイッチになります。
あとは通常通りの手順で交換します。
該当するスイッチのはんだを吸い取りスイッチを外します。
はんだが浸潤していてなかなか取れなかったので、最後はドレメルのドリルビットで破壊しました(笑)
上手な方はこういった浸潤したはんだまで吸い取れるものなんでしょうか。
圧倒的チカラワザ感がありますが、取れたので良しとしましょう(笑)
スイッチ部分の高さは実寸でD2F-01Fが7.2mm、TL1140AF070Qが7.1mmでした。
ほとんど誤差の範囲ですのでスイッチ自体の高さ調整は不要です。
次に基盤枠内に収まるようにスイッチを入れてはんだ付け。
こんな感じに配置しました。
他部分と干渉することなくスッキリ収まっています。
あとは開いた時と逆の手順で閉じていくだけです。
驚くことにSlimBladeのフレーム側は削る等の加工をしなくても問題なく入ります。
スイッチの高さ調整・SlimBladeのフレーム削りもまったく必要なく交換可能なんて、まるでD2F-01系を入れる事を考えて設計していたかのようですね。
コスト削減の為にやめたとかでしょうか。
開発秘話が気になって仕方ありませんが知る由もなく...。
動作確認をしたら修理完了です。
心地よい使用感
クリック感はM570同等で軽い力でクリック出来ます。
動作に必要な力はTL1140AF070Qとほぼ変わらないものの、指先に伝わるクリックした感覚はD2F-01Fのほうが心地良い反発感があります。
クリック音は以前のTL1140AF070Qは「コッ」という感じに対し、D2F-01Fは「カッ」というやや高い音がします。
こちらも知らない人は気がつかないレベルです。
これについては以前記事にしたリニアPCMレコーダーの「DR-05」で音の比較してみたら良かったと後悔しています(笑)
良い意味でほぼ差が無いので、変えてない残り3つのボタンに馴染んでいつも通りの感覚でSlimBladeを使えます。
あとは耐久性がどうなるか...!
あとがき
今回は保証期間の切れたSlimBladeのスイッチを交換して修理してみました。
SlimBladeは大型トラックボールの中でも人気の機種ですが、ネットで検索してみればボタンに不具合が出ている方も多いようです。
保証期間外で買い直しを検討する前にダメ元で直してみるのも手かと思いますので、参考にしていただけましたら幸いです。
もちろん修理は自己責任でお願いします。
M570の後継機として発売したMX-ERGOに浮気しそうになりましたが、完璧に直ったのでまたメインデバイスとして使用していけそうです。
この記事を書いている時にも使用していますが不具合ありません。
このスイッチ交換の方法はSlimBladeだけでなく、チャタリングを起こした他のマウスも治せます。
残ったスイッチもすべてSlimBladeに入れてしまおうか迷うくらいですが、今後どのマウスが壊れるか分からないので取っておく事にします(笑)
最後までお読みいただきましてありがとうございました。