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NGD、BlackWaterが私の家にきた。
My New Gear...(様式美)
海外では新機材を購入した日にはNGD(New Gear Day)というらしいですね。
そんな事はさておいて、BlackWater D-Ⅱという大変珍しいギターが我が家に届きました。
なかなかお目にかかれない楽器なので、解体新書よろしくこのギターの特徴や魅力を書き記していきたいと思います。
今回の記事はdp0 QuattroとRX100で気合い入れて撮ったので写真多めです。
お茶でも飲みながらご覧いただけましたら幸いです。
Black Water Guitar Company:BWGC
場所はアメリカ合衆国、テキサス・ヒル・カントリー。
ルシアー”Aaron Brown”によって創設されたギター関連会社です。
手がけたギターの数々はとにかく美麗でハイクオリティだとユーザー・コレクターの方々も唸るとかなんとか。
気になった方はぜひギャラリーを覗いてみてください。杢目好きは幸せになれます。
公式HPには簡易オーダーフォームも用意されていますが、どうやら現在はAaronの体調不良(?)により機能していない様子です。
SNS一部界隈ではBlackWater直訳の「黒水」の愛称や、略称「BW」で呼ばれていますが、個体数が少ないのでご存知ない方のほうが多いかもしれません。
さすらいのD-Ⅱが私の家に届くまで
既に何本かギターは持っているものの、定期的にくる「なんとなく新しいギター買いたい欲」からオークションやReverbを眺める毎日。
予算も欲しいスペックも特に決まっていませんが、漠然とドロップチューニングに適したギターが欲しいなと思っていました。
資産性を求めるならメジャーなメーカーを攻めるべきですが、どうせ趣味の世界なのでユーザーが少ないメーカーが良いなと。
ただ有事の際の為、値が下がりにくいような個体が嬉しい。(未練がましい)
そうなってくると海外工房製のギターが選択肢に上がってきます。
Skervesen、Aristides、Vik Guitars...。
いまや魅力的なメーカーがたくさんありますよね。
eBayやReverbでこれらメーカーは流動性高く取引されているので購入するのは簡単なのですが、英文での取引が少々面倒な事やワシントン条約でいくつかの木材種が取引制限になっている事からなかなか購入に踏み切れませんでした。
重い腰が上がらず購入を迷っていた矢先、国内でBlackWaterを売却検討されている方を発見してしまいます。
BlackWater、その存在こそ知ってはいたものの高嶺の花。いや、高値の花。
公式の簡易オーダーフォームで遊んでいるだけでも高価なのがビンビンに伝わってきますし、Reverbでも結構な金額で取引され値が落ちにくい事を確認していました。
ましてユーザーも少ないうえにドロップチューニングにも適している個体です。
しかもこの個体、過去にReverbで流れていた際に購入しようか迷った末見送ったものです。
何度見てもかっこ良い...!
これ以上ないチャンスだと思い即座に連絡・購入してしまいました。
物欲には勝てませんでした(ダブルピーズ略)
程なくして我が家に到着。
すごいしつよい(語彙力)
実物は写真以上にいかついキルトでした。
ハードケースを開く際の興奮は何度体験しても良きものですね。
かつてに見た個体が巡り巡って私の手元に来るのは嬉しいものです。
スペック
スペックは以下の通りです。
トップ:5Aキルトメイプル(カーブトップ)
ボディ:マホガニー
ネック:3ピース(フレイムメイプル+ブラジリアンローズウッド)
ネックバインディング:フレイムメイプル
指板:パーフェロー(フレイムメイプルインレイ)
ピックアップ:BlackWater Neodymium Modern(パーフェローカバー)
コントロール:3way、1Vol、1Tone
スケール:マルチスケール(25-26")
フレット:ステンレス
写真を交えながら詳しく見ていきます。
トップ材は5Aクラスのキルトメイプル。
非常に丁寧なカーブド加工も相まって木目がギラつきます。すき。
トップ材のウレタン塗膜が分厚いので、以前のオーナーどなたかがウレタンの再塗装しているようです。
ハードケースから甘い香りがしないのでトルエン系ではないでしょう。
何にせよこれだけ塗膜が厚いと小傷が出来ても問題なく再研磨できそうです。
ヘッドはDⅡ-Splitと呼ばれるシェイプでマッチングヘッド。
ヘッドの一部はローズウッド地にBlackWaterのロゴ”BWGC”、存在感抜群です。
指板はパーフェロー、インレイはフレイムメイプル。
ポジションマークのあるギターは久々な為か一周まわって新鮮な印象です(笑)
フレットは高耐久なステンレスフレット。
PLEKで擦り合わせた直後かのように均一です。
フレットエッジは安心と信頼のボールエッジ加工が施されています。
スケールは25.0-26.0"のマルチスケール。
よくある25.5-27.0"のファンフレットは個人的には傾斜がキツすぎる印象でしたが、これくらいならポジションを見失う事なく弾けます。
ネックバインディングにも贅沢にフレイムメイプルを使用。
サイドにもポジションマークが付いています。
ピックアップはBlackWater Neodymium Modern。
指板と合わせてパーフェローでカバーが施されています。
ブリッジはBlackWater Custom Bridge。
マルチスケール用にスラント配置されています。
スペック上はCustom Bridgeとの記載ですが、REV Guitarsのルシアーさんから「GRAPHTEC VS100のサドル上面を削ってるみたいですね」と教えていただきました。
なるほど、たしかにそんな気がします...!
おまけに弦が通る溝も広げるような加工が施されているようです。
余談ですがREV Guitarsさんのギターもとても玄人好みでイカしているので是非覗いてみて下さい。
閑話休題。
指板・PUカバー同様にノブもパーフェローを使用しています。
木製ノブのさりげないお洒落さが大変良い。
ボディはマホガニー。
バック材としてはポピュラーな木材ですね。
改めて思えば私の所有するギターほぼマホボディだ...。
トップ材のグロスフィニッシュに対してボディはサテン様です。
でもサテンフィニッシュにしては塗膜が薄いような気がしないでもない。
部分的に木材の乾燥が少々気になるので、後日ミネラルオイルを使用してみようと思います。
ネックは3P構造です。
フレイムメイプルセンターにブラジリアンローズウッドのサンドイッチ。
こちらもサテンフィニッシュになっています。
ネック接合部はSet-Through Neckという構造です。
セットネック同様にネックポケットに接着したのちに、スルーネック様に滑らかに加工されています。
デタッチャブルではないのでネックは外すことが出来ません。
ルシアーAaronの考えるベストな状態でネックが固定されているわけですが、ネックトラブルが少々怖いところ...。
ペグはHipshot Griplock、ペグ内部が見えるのがさりげないお洒落ポイント。
様々なペグを使用してきましたが、ロックペグが一番チューニング安定している気がします。
キャビティ近辺。
キャビティ内を覗こうかと思いましたがツライチすぎて開かなかった...。
トーンノブ側から押し出せば開くとは思いますがまたの機会にしましょう。
この個体を良く知る方ならご存知かと思いますが、兼ねてより弦アースが落とし切れていない事でノイズがありました。
前オーナーさんから私の元へ来るタイミングで電装系の見直し&導電塗料によるシールディングも行なって頂きましたのでノイズ問題は是正されています。
驚くほどに調子の良い状態です。
以上がスペック詳細です。
ご覧いただきました通り、図らずともギラついたナウいスペックのギターが来てしまいました(笑)
公式の簡易オーダーフォームには無い仕様がゴロゴロ入っているので、アップチャージも相当量入っているような気がします。
プレイアビリティ
お次は演奏性についてです。
ベンドトップでは無いものの、結構深めのコンターカットが入っているので肩周囲をプロトラクトせずに心地よく構えることが出来ます。
このアングルからのネック美しい。
ネック裏は先述の通りサテンフィニッシュ。
サラサラな触り心地なので、指板上を縦横無尽に走るえげつないギターソロでも弾きやすいです。
ボディとの接合部もスルーネックなのでほぼ全てのポジションでストレスはありません。
強いて言うならファンフレットのせいでハイフレの低音弦側が弾きにくいですが、そもそも使う機会もあまり無いですし異弦同音で対応すれば無問題でしょう。
フレット端のボールエッジ処理もお見事。
大変滑らかです。
ネックシェイプは標準的なCシェイプでしょうか。
私のSuhr ModernのModern ellipticalよりも薄くて高音・低音弦側のエッジがシャープになっているような印象です。
Suhr Modernのほうは高音・低音側でRが異なる仕様ですが、正直ギターを持ち換えてもそこまで違和感ありません。
フィクスドブリッジとファンフレットゆえ弦のテンションは結構強め。
ドロップチューニングに設定する事が多い私としては大変ありがたいです。
ピックアップの「BlackWater Neodymium Modern」は思った以上にモダンな音が鳴ります。
全体的にバランス良く鳴りながらも小気味良い高音が心地よいです。
木製カバーの影響がどれくらいあるのかは分かりかねますが、デモ動画に近しい音が鳴ります。
唯一気になるのがセレクターの位置。
トーンとブリッジの間にあるので、ストロークのついでに素早くPUを変えるといった事が難しいです。
レスポールのセレクターを初めて触れた時に戸惑ったように、これは徐々に慣れてくる部分かなと思っています。
以上が演奏性の詳細でした。
ファンフレットは以前手にしたS7Gで慣れていたのもあってすんなり受け入れられましたが、この個体のような25-26"なら通常の25.5"スケールに慣れている方でも問題なく弾けるのではないかと思います。
ギター趣味の友人にも弾いてもらいましたが「ファンフレットあまり好きじゃないけど、これならそんなに違和感なく弾ける。」との事でした。
あとがき
以上、珍しいギターBlackWater D-Ⅱの特徴や魅力を書いていきました。
フレット処理、スルーネックの滑らかさなどなど、見た目全振りではなく演奏性にも配慮がなされています。
先述の通り、ファンフレットが苦手な方でもこの25-26”マルチスケールなら違和感少なく弾けると思います。
この強めのテンション感はドロップしてこそ真価を発揮するところ。
ドロップチューニングで弾きたかった曲がたくさんありますので今後活躍してくれるでしょう。
デモ演奏的なものはまた別の機会に撮っていきたい所存です。
一部乾燥(?)が気になる部分はミネラルオイルを塗布して様子を見てみたいと思います。
その際にはまた記事にしますので、お待ちいただけましたら幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。