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レザーソールのケアどうしていますか。
4月も中旬。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
新年度に入り、新社会人として革靴を着用する機会が出来たり、新たに良い靴を検討・購入した方も多いのではないでしょうか。
Twitterを見ていれば、この機会に...と靴磨きに挑戦され始めた方もちらほら見かけるように感じます。
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さて、そんな革靴に注目がいきがちな昨今、裏側の靴底部分をまじまじと見たことはあるでしょうか。
注目してみてみれば、靴のグレードに問わず靴底にもレザーが使われている個体が多くあります。
今回はそんな隠れた名脇役である「レザーソール」にフォーカスを当ててケアしていきます。
手入れのいち選択肢として参考になりましたら幸いです。
ヒールはもちろんソールも消耗する
以前にヒールの補修についてこちらの記事を投稿しました。
上記の記事では「踵は消耗品である」という旨の記載をしました。
しかし実際は、踵ほどでは無いにせよアウトソール部分も削れていくのが正常です。
歩行とは、踵から接地して勢いを緩衝・制動し、足裏に体重が伝わり、足で地面を蹴る事で推進力を生み足が浮く...という複雑な動作を左右で行っています。
(中村隆一(2012)『基礎運動学』第6版 補訂,pp.383,医歯薬出版株式会社.)
そんな一連の動作で強い衝撃が加わる瞬間は、地面から返ってくる力を計測した「床反力」を見ると答えが出てきます。
(中村隆一(2012)『基礎運動学』第6版 補訂,pp.392,医歯薬出版株式会社.)
垂直分力を見ると、踵が地面につく”緩衝の瞬間”と足で地面を蹴る”推進力を生む瞬間”の2つに山のピークが出来ています。
前者の緩衝では踵が削れ、後者の推進力を生む瞬間には主にソール部分が削れるのです。
...と面倒な事は抜きにしても、粗目ヤスリみたいになっているアスファルト上を歩けば革がすり減るのは当然という話です(笑)
破れてしまえばオールソール行き
革が削れ続ければいつか破れる瞬間がきます。
こちらは知人から「直せたら直して!」と渡された靴ですが(?)、ここまで来てしまうと素人では治せません。
私は靴屋さんでもリペアショップではない事は強調しておきます(笑)
長年愛用すれば避けられない現象ですが、靴のソール内には削れて欲しくはない素材が詰まっているので、穴が開いてしまう前にオールソールしてもらう事が推奨されます。
オールソールは靴の裏側をまるっと付け替える大変な作業ゆえ、結構な金額になる事は覚えておきたい所です。
安価で有名なミスターミニットさんでも1.9万円くらいでした。
ともなるとリペアショップなら幾らになる事か...。
だからこそ普段のケアでソールを削れにくくする方法があれば嬉しいものです。
ソールを耐久性を改善するソールモイスチャライザー
そんなレザーソールの耐久性を改善する物があります。
いわゆる「ソールモイスチャライザー」です。
革を程よく潤わせる上に乾燥後には硬化してくれるので、地面との摩耗も幾分か防いでくれます。
もちろん靴底の「かえり」も是正され歩きやすくなります。
写真ではM.モウブレィ製ですが、他社からもソールコンディショナーとしてたくさん販売されています。
使い方はとても簡単。
ステインリムーバーで汚れを落としたレザーソールに少量取りブラシで広げます。
私は面倒なので直に靴底に付けていますが、正しくはブラシや布で少量ずつ取って伸ばすのが良いそうです。
全体に馴染みました。
あとは余分なクリームを拭き取り乾燥すれば公式の使い方としては完了です。
私はここからもうひと手間加えています。
靴底にクリームが馴染んで硬化したものの革の繊維はボサボサのままなので、固いもので押し込んでいきます。
私はコードバンをならす時にも使っている「かっさ棒」を流用していますが、固い物ならば何でも代用できます。
固い物を押し付けて擦ればこの通りテカリが出てきます。
オイル成分を表面に残さないクリームなのに光沢が出るという事は、革の繊維が押し込まれて固くなったを意味する...という事で解釈していますがどうでしょうか(笑)
全体を押し込めば完了です。
この作業によってより削れにくく、より「かえし」が効いて歩きやすくなる事を確認していますが、数値的な検証はしておりませんので気分的なものかもしれません。
これだけの簡単な作業でソールの持ちが良くなるのならやらない手はないでしょう。
あとがき
隠れた名脇役「レザーソール」にフォーカスを当ててケアを施しました。
今までは4年ほどで靴底が破れていましたが、ソールモイスチャライザーを塗布してからは3年半ほど履いてもアウトソールは破れる気配がまったくないので耐久性改善の効果はその通りのように感じます。
検証しようにも歩く場所やメーカーによってのアウトソール厚に差異がありますので、比較実験できないのが残念なところです。
面倒な作業はほとんどありませんので、ケアのいち選択肢として普段の靴磨きに合わせて実施していただく事をお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。