先日某リサイクルショップで珍しい革靴を見つけました。
ALDEN 557です。
中古相場では見たことがありません。
内側のナンバーを見る限りでは0g25 053。
0gという事は、下一桁が0年の7月に製造された事が分かりますが詳細はわかりません。
1980年、1990年、2000年なのか...。
何はともあれ557という3桁のモデル番号ですので、最近のものではない事は明確です。
全体的に色が抜けて革がガサガサゴワゴワでつま先はキズがはいって...と結構な年季が入っていますが、手入れしたら光るでしょうか。
いや磨けば光ったのだ(結果論)
およそ20~30年前個体か
古き良きビンテージを愛するコレクターの皆さんも多くいらっしゃる革製品界隈ですが、私は特に気にしない性格です。
もちろんメーカーによっては過去製品のほうが良いなぁと思う物もありますが、ALDENに関してはどちらでもという考えです。
が、やはり気になるので調べてみました。笑
調べてみると557の歴史は古く、1950年あたりには存在が確認されているようです。
唯一ショップのブログにあった557個体では、アイレット(靴紐の穴)が7つ、インソールも「KATES BROS」ロゴと私が購入したものと仕様が異なります。
こちらはインソールには辛うじて読める「UNITED ARROWS」ロゴが見えます。
Wikipedia曰く、ユナイテッドアローズは1989年からの創業ですので、この個体は1990年以降である可能性が非常に高いようです。
こちらの557は、「アーリーモディファイド」と呼ばれる細めのモディファイドラストは踏襲されているようで、同サイズの同ラスト個体より細身である事は間違いありません。
2005年付近のモディファイドラスト個体では、現行のようなもっとふっくらしたような足幅だったと記憶しておりますので、1990年か2000年あたりなのかなと想定しています。
ヒール交換もされ既にオリジナルではないようですので、こういった鑑別は難しいですね...!
ALDENに関しては、もっと鑑別しやすいナンバーにしてほしいなと思っている方も多いのではないでしょうか。
20~30年前の革靴なら十分ビンテージと言っても差し支えないでしょう。多分。
状態確認
まずは手入れの前に状態確認していきます。
先述の通り、いたる部分で使用感や傷があります。
歴戦のALDENです。
しかしビンテージという中では大きなクラックもなく、状態良好といっても良いのではないでしょうか。
もっと汚れているのならサドルソープで丸洗いする事も検討していましたが、通常通りの手入れで十分綺麗になりそうです。
手入れしていく
まずはブラシで古いチリやホコリを落としていきます。
ウェルトとアッパーの隙間やタンの付け根って結構ホコリが溜まっているものですよね。
特に長期間放置された物ともなると、無限に湧き出ているんじゃないかってくらいホコリが出てきます。
お次はステインリムーバー。
古いクリームや汚れを落としていきます。
布に少量つけて軽く擦ります。
以前は力を入れて擦っていましたが、革が痛んだり染料が落ちたりするので軽くで良いらしいですね。
古びた汚れが落ちて綺麗になりました。
次はデリケートクリームで潤いを与えます。
米粒大程度をブラシに取り全体に広げます。
少々時間を置いたら、布で余分なクリームを拭き取ります。
ゴワゴワカサカサのアッパーに潤いが戻ってきました。
小傷も多いので靴クリームで補色を入れていきます。
米粒大をブラシに取り全体に広げます。
何度もブラッシングする事で靴クリームが均一に伸び、アッパーに染み込んでいくようです。
少々時間をおいて布で余分なクリームを拭き取ります。
布でアッパーの革をふき取った際にクリームが付かなくなれば完了です。
革に光沢感がでてきました。
ここで終了でも良いのですが、爪先周辺の傷が目立つのでワックスで磨いていきます。
今回は、私が愛してやまないトラディショナルワックスです。
ワックスは革の細かい凹凸を埋め、光をギラギラ反射してくれるのでパッと見でキズが分からなくなります。
具体的な磨き方については鏡面磨きの記事を参照いただけましたら幸いです。
芯材の入っている革部分に浅く何層も重ねます。
布に水を微量含ませ、マルを描くように磨いていきます。
ちなみに布は船場和晒の起毛白ネルを使用しています。
市販の布の中ではキメが細かくて厚手なのに柔らかいという、鏡面磨きに最適な布なんですよね。
Amazonレビューが靴磨きマンで埋まるのも分かる商品です。
適宜ワックスを追加しながら任意の光沢まで磨けば完了です。
見てこれ!!!
爪先がギラギラになりました。
私が靴磨きで一番好きな瞬間といっても過言ではありません。
最後にコバの塗料が落ちていたので、コバインキを塗っていきます。
面倒でない方はコバの凹凸を目の細かいヤスリで整えてから磨けば綺麗になります。
これで全ての工程が終了です、お疲れ様でした。
我ながら満足の仕上がりです...!
ビンテージ革も磨けば光るのだ
最初の状態を想起できないほどに綺麗になりました。
消しきれなかったキズもありますが、ビフォーと比較すればえらい違いです。
靴磨きってすごいですよね(語彙力)
知らない方が見たらまさか20~30年前の革靴と思えない事でしょう。
アーリーモディファイドとはいえアバディーンラストのような細身なので、フォーマルにもドレスコードにも使えそうな印象です。
美しきフォルムなり...。
満足の仕上がりです。
新品の靴を自分の思い通りにエイジングしていくのも魅力ですが、あえて古い革靴を買って前人のエイジングを継いでいくのも楽しみの1つなのかもしれません。
ビンテージ革も磨けば光るのだ。
これだからリサイクルショップ巡りはやめられないのです(?)
最後までお読み頂きましてありがとうございました。