明るいレンズは高い。
価格.comで何気なしに「フルサイズ対応でF1.5より明るいレンズで〜」なんて検索するとボディ価格に並んでしまうようなレンズがゴロゴロ出てきます。
参考:価格.com
アッ破産する!!!
きっと値段相応に写りが良いのは分かりますが、もっとリーズナブルに楽しみたい方も多いはず。
そんな中でも明るいのに比較的安価で評判なレンズがありました。
こちら。
SIGMA 30mm F1.4 DC HSM Artです。
こちら本当はAPS-C専用のレンズではありますが、フルサイズでも条件付きで使えるとか。
そのウワサの実態を探るべく購入し、5Ds Rで使用してみました。
圧倒的描写性能のArtライン
SIGMAのレンズラインナップには、用途や構造によって3種のコンセプトに大別されています。
- Contemporary
- Art
- Sports
画像引用:SIGMA
ざっくりご説明するなら、小型・軽量のContemporary、描写性能のArt、高度な運動性能のSportsです。
今回手にしたSIGMA 30mm F1.4 DC HSM Artは、その末尾の通りArtライン。
最高の光学性能と豊かな表現力におもきをおいて、「とにかく描写性能を」との期待に応えるコンセプトです。
技術の凄まじいシグマだからこそ言える、レンズ界の”レベルを上げて物理で殴る”的な意味合いを感じます。もちろん良い意味ですよ?
F1.4という驚異的な明るさですが、発売から時間が経っているうえ、 APS-Cサイズ専用なので大変お安いのです。
開放で撮った時にはボケボケになってくれる事でしょう。
フルサイズでも”条件付きで”使える
大きなセンサーサイズになるほどに同じレンズでもより広い範囲を写す事が可能です。
画像引用:SONY
このSIGMA 30mm F1.4 DC HSM Artは、イメージセンサーがAPS-Cサイズのカメラに適応するように調整されたレンズです。
それゆえにフルサイズではレンズ筐体の一部が画角に入ってきてしまいます。
本記事の最初にちょこっとお話した「条件付きで使える」は、F値を上げて使用するという意味です。
あるいはケラレも了承したうえで普通に使用するか...。
ケラレの入り具合についてはのちほど作例を貼ります。
SIGMA 30mm F1.4 DC HSM Art
というわけで早速購入。
コチラが到着したSIGMA 30mm F1.4 DC HSM Artです。
私はキャノンの5Ds Rで使いたかったので、キャノンEFマウント仕様を購入しました。
よほどマイナーなメーカー以外であればほぼすべてのマウントに対応しています。
スペックは以下の通りです。
レンズタイプ:単焦点レンズ(標準~準広角)
焦点距離:30mm
開放F値:F1.4
レンズ構成:8郡9枚
フィルター径:62mm
モータータイプ:超音波モーター
サイズ:φ74.2㎜ × 63.3㎜
重量:435g
執筆時点での新品相場は約40,000円、中古相場は28,000円~32,000円です。
F1.4という強烈な明るさなのに非常に安価ですよね。
買う気になればなんとか手が届くお値段なのは嬉しいところです。
まずこうして手に触れて思うことが、非常に格好の良いレンズです。
非光沢と光沢のある黒色が程よく配置されているうえ、レンズ筐体には余計な文字も無いので高級感があります。
サイズはφ74.2㎜ × 63.3㎜、重量は435gと準広角にしては少々大きめ。
とはいっても一般的な標準ズームと比較すれば小さいサイズです。
カメラバッグでなくとも十分持ち運びは可能かと思います。
ArtラインゆえのAマークもアクセントになっていて美しい。
このレンズは丸形フードが付属します。
実際に使ってみた
5Ds Rに装着してさっそく使ってみました。
まずはガッツリ開放から。
TAMRON 28-75mm(ISO400、F1.4、SS1/80)
ALDEN モンクストラップ(ISO800、F1.4、SS1/80)
ステインクレンジングウォーター(ISO800、F1.4、SS1/200)
ギター:Mayones Regius 7(ISO100、F1.4、SS1/20)
ALDEN ウイスキーコードバン(ISO800、F1.4、SS1/30)
やはりシグマレンズは素晴らしいですね。
強い明るさと解像度、さらには強烈なボケ味が楽しめます。
解像度が高いと被写体の材質まで伝わってくるような印象です。
そして驚くのがオートフォーカス(以下AF)の速さと静かさ。
AF駆動音は大変小さく「ココッ...ココッ...」と言う程度で、ペットの寝顔を撮るために近づいても起きる事はないでしょう。素晴らしい。
実用範囲ではあるもののやはり写真の四隅と写真端には黒い影(ケラレ)が入っています。
このケラレはレンズフードを外しても起きるのでレンズ筐体内部が写っているようです。
いらない部分を削ってどうこうというパワープレイはできません。
写真の周りが暗いので何も言わなければ「ビネット加工しているのかな」と理解されなくもないかも。
少々無理があるか...。
さてさて。
お次はどれくらい絞ればケラレが消えるのかを確認していきます。
さきほど例にあげたギターの写真で検証します。
写真はすべて撮って出しの無編集です。
ISO100、F1.4、SS1/6
ISO100、F1.8、SS1/13
ISO100、F2.5、SS1/5
ISO100、F2.8、SS1/4
ISO100、F3.5、SS1/3
ISO100、F4.0、SS1/2
ISO100、F5.0、SS0.8
ISO100、F5.6、SS1
ISO100、F7.1、SS1.6
やはり強烈な解像度です。
写りにくい木目のフレイム模様も綺麗に描出されています。
しかしどこまでF値を上げていっても四隅にケラレは写るようです。
F2.5くらいから四隅以外は明るくなるので、広い範囲で撮りたい時にはここらへんからが実用ラインのように感じます。
あえてF値高めで被写体を小さく撮って、ケラレが入らないようにトリミングするのも手かとは思いますがせっかくの30mmを生かせないのは残念です。
APS-C機で使えば最高のレンズである
今回のフォーカス「APS-C専用レンズをフルサイズでも使えるか」に関しては、要検討かなというのが個人的な感想です。
やはりフルサイズセンサーとAPS-Cセンサーの差は大きいようです。
全体的に暗めな写真では四隅のケラレも上手に溶け込みますが、明るい環境での写真では違和感が否めません。
いくら”条件付き”としてF値を絞ってもケラレは少しは残ってしまいます。
いっその事、開放近めでガッツリケラレが入ったほうがビネット感あって違和感無いような気さえします。
今回の主題に関しては要検討でしたが、レンズ性能的には満足の一言です!
素早いAFと静かな駆動音にバキバキの解像度。
シグマのアートレンズを初めて手にしましたが、人気の理由が分かった気がします。
- APS-C機を使用している
- 標準の単焦点よりも寄って撮りたい
- 標準よりも広い範囲を写したい、でも広角まではいらない
- ペットや赤ちゃんなどの寝顔を撮りたい(静かなレンズが良い)
- 高い解像度が望ましい
これら項目に当てはまるほどにオススメできるレンズでした。
「もちろんケラレも特に気にならない」とそのまま使用されている方もいらっしゃいますので、もしフルサイズでお使いになられる方は実際に試したのちに検討されるのが良いと思います。
そうそう。
余談ですが、シグマレンズはUSB DOCKを介してアップデートが可能です。
画期的なシステムですよね。
レンズ側のファームウェアをアップデートできるレンズなんて他にないような気がします。
なおレンズのピント調整も合わせてUSB DOCK内で可能ですので、レンズと併せてご検討いただくのが良いと思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。