使用感のあるクラシックワークを磨いて再起を図りたい
先日、知人からこんな靴を頂きました。
いやー懐かしい!
レッドウイングのクラシックワークと呼ばれるド定番ラインです。
今となってはALDENのキレイめな革靴ばかり履いている次第ですが、私も以前はクラシックワークを履いておりました。
頂いた知人より「足のサイズも同じだし、靴磨くのも得意そうだから使えたら使ってほしい。」との事。
ありがたき...!
そんなご縁あって手元に来たレッドウイングをピカピカに磨いて再起を図ります。
タフなワークブーツの老舗レッドウイング
タフ・ラフに履けるワークブーツメーカーRED WING。
1905年アメリカミネソタ州、レッドウイングという街で「Red Wing Shoe Company」という小さな工場が起源です。
アメリカ国内での生産にこだわっており、本格的な作りに反した比較的手の届きやすい価格設定からワークブーツメーカーとして全世界に名を轟かせました。
一部ラインの商品には、アッパーにオイルドレザーとよばれる油分を大量に染み込ませたカーフ材が採用されており、革の弱点とされる傷や水分からも強いという特徴があります。
手入れも簡単な事からも老若男女問わず愛されるブーツとなっています。
...と言ってもほとんどの方が手入れしていない事実もありますが(小声)
状態確認
さてさて私が今回頂いたクラシックワークはこちら。
頂く際に「かなり古くて汚い物だけどさ...」と言われましたが、使用感はあれど言うほど状態は悪くありません。
強いて言うなら全体的にカビ臭さと乾燥があり、ソールが浮いている印象がありますが特に問題はないでしょう。
こちらの写真ではわかりにくいですが、つま先部分は色ムラが顕著です。
強い油分とクリームでなんとか隠しているようですが、余分なクリームを落としたら色ムラがあらわになりそうです。
「この傷やシミすらも含めてレッドウイングの味だ!」といえばそうなのかもしれませんが、せっかく磨くのでピカピカな状態にしていきたいと思います。
ケアしていく
革が乾燥しきっているとはいえ、古いクリームもホコリもべっとりついていたうえ、カビ臭さもありましたので丸洗いしていきます。
今回使用するのはサドルソープ。
いわば革製品向けの石鹸です。
まずは水に靴を沈めます。
革の奥に油分が残っているせいか染み込まない部分もありますね。
あとはサドルソープを少量付けて洗っていきます。
あっという間にモコモコに。
サドルソープは泡立ちが良いので洗いやすいですよね。
アップにするとわかりますが、奥に溜まった汚れやハトメのサビがどんどん取れていきます。
満足になるまで洗ったら靴を乾燥させます。
お時間のある方は風通しの良いところでゆっくり乾燥させるのが良いですが、私は靴乾燥機を使用しました。
古いクリームや汚れが取れて元地が顕になりました。
やはりつま先周辺の色ムラが顕著です。
磨いていく過程で上手く隠すことができるとは思いますがどうなるでしょうか...。
まずはデリケートクリームを塗布していきます。
ブラシで少量取り全体的に広げていく。
本来であればクリーム量は米粒大程度で良いのですが、丸洗いした後のカサカサな状態なので倍量塗布しました。
少し乾燥させたら乾いた布で余分なクリームを落とします。
お次はオイルドレザーたる所以の油分!
ミンクオイルを塗布していきます。
レッドウイングは公式からもミンクオイルが販売しておりますが、今回はあえて安価なコロンブス製を選択。
ミンクオイルは強烈な浸透作用があるため革の奥にまで入り込んで行きます。
あまり付けすぎると革の色を暗くしてしまうデメリットがある反面、こういった乾燥した革に潤いを戻すには最適なオイルです。
こちらもブラシに少量取って全体的に広げます。
少し時間をおいてから、乾いた布で余分なクリームを拭き取ります。
光沢が戻ってきました。
つま先の色ムラも徐々に分からなくなりつつあります。
お次はアッパーのくすんだ色を解消するべく乳化性クリームを入れていきます。
茶系を入れて落ち着いた色味にするのも魅力的ですが、あえて明るくて強いバーガンディを選択。
こちらもブラシで少量取って全体的に広げます。
少し時間をおいた後に布で余分なクリームを拭き取れば完了です。
クリームを革に定着させる間に靴の内側も手入れしていきます。
どこにでも使えるシュプリームクリームを使用。
指で少量取りライニングやインソールに塗ります。
シュプリームクリームは乾燥するとベタつきが一切なくなるので靴中にも最適です。
最後につま先の傷と色ムラをワックスでごまかしていきましょう。
写真左側のトラディショナルワックスと迷いましたが、今回は鮮やかなバーガンディ色の出るサフィールワックスを使用します。
鏡面磨きに関しては、過去記事と同じ方法にて塗布します。
指先でワックスを少量取り、靴のつま先部分に薄く広げていきます。
薄い膜を何度も重ねていくように...。
とイメージするとやりやすいかもしれません。
お次は綺麗な布を指に巻きつけて、水を極めて少量ずつ付けて磨いて行きます。
使用しているネル生地はこちら。
Amazonのレビューが靴磨きの方々で埋もれているくらい有名なネル生地です。
水を少量つけます。
ちなみにこちらはハンドラップという道具です。
1プッシュでは結構多量に出てしまうので、半プッシュで十分です。
あとはワックスの下地部分にマルを描くようにぐるぐる磨いていきます。
こんなウロコ状の磨き跡が出てくるなら適切です。
水とワックスを少しずつ足して磨き続けていけば、次第に磨き跡もなくなるくらいになっていきます。
良いのではないでしょうか。
最後に紐を付けたら完了です。
うーむ。我ながら惚れ惚れする磨き具合です...!
これならキレイめな革靴として履いても違和感なさそうですよね。
前後比較
せっかくですので、磨く前後で比較していきましょう。
まずはビフォーから。
そしてこちらがアフター。
我ながら満足の仕上がりです。
古ぼけた赤色が鮮やかになったうえ、鏡面磨きがつま先周辺の傷を隠してくれています。
履いてみればなお鏡面磨きの恩恵を感じられます。
つま先が光っているだけでドレス感というか小綺麗な印象が出ますよね。
鏡面磨き恐るべし...!
ワックスを使って綺麗に磨くのも良いのではないか
今回は使用感のあるレッドウイングを磨いて再起させてみました。
ガツガツ使って傷すらも味として履かれがちなオイルドレザーブーツですが、磨けば綺麗になるものです。
鏡面磨きは少々コツは必要かもしれませんが、手軽にドレス感を出すには手軽な方法かと思います。
ワックスもべらぼうに高価なものではありませんので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。