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今更ながらMX ERGOを購入しました。
私がトラックボールユーザーとなる先駆けとなった「M570」がセンサー不良とチャタリングを起こすようになりました。
6年半も使っていたので思い入れはありますが、そろそろ替え時だろうという事で同社新機種の「MX ERGO」を購入。
早速3週間ほど使用してみたので、いちトラックボールユーザーとして細かくレビューをしていきたいと思います。
図らずとも長編になってしまいましたので、お茶でも片手にお読みいただけましたら幸いです。
- 忙しい方向けざっくり解説
- まだマウスで疲弊してるの
- 開封の儀
- 使用開始までのセットアップ
- 拡張性を高めるLogicool OptionsとFlow機能
- よりナチュラルに、よりストレスレスへ
- メンテナンスはほとんど必要なし
- 実際に使用してみて感じた気になる点
- M570、MX ERGO、SlimBladeどれがいい?
- まとめ
- あとがき
忙しい方向けざっくり解説
- WindowsとMacをサポート
- 接続方法は同梱のレシーバーを介したUnifyingもしくはBluetooth
- M570譲りの人間工学的デザイン
- マウス本体の傾斜角度を0°もしくは20°に変更可能
- ホイールはスクロール・ミドルクリックだけでなく左右への傾き操作も検知
- バッテリー駆動のため電池不要
- MicroBタイプのUSBで充電、1分充電で8時間、フルで4ヶ月使用可能
- 「Logicool Options」でボタンカスタマイズ、アプリ毎の個別設定等可能
- Flow機能でPC間のデータ移行も簡単
- 持ち運びと快適性を求める人にはこれほど良いマウスはないのでは!
まだマウスで疲弊してるの
今や仕事でPCを使うのは当たり前の時代。
ハードワークに耐え兼ね腱鞘炎になれども「仕事だから」と仕方なくマウスを動かしているのではないでしょうか。
そんな方々から根強い人気があるのがトラックボールマウスです。
- 快適な操作性
- 腱鞘炎対策
- 省スペース
トラックボールを購入検討された方々はこれらに魅力を感じたのではないでしょうか。
私もそんな口コミを聞き、なんとなくの興味本位で購入したM570からトラックボールの快適さに惚れ込み使い続けています。
思えば、従来のマウスのように手首を支点として左右に動かす、マウスパッドの限界がきたら持ち上げて元に戻すといった手首に機械的負荷をかける動作が一切必要ありません。
あいにく腱鞘炎とは無縁な私ですが、患った方々から多大な評価を受けている点からも「腱鞘炎に良い」と謳われる証明は十分にされているのではないかと思います。
現在私はメインディスプレイ操作用のSlimBladeと、PCから離れたり寝転がっている時用のM570で使い分けています。
そんな快適環境の最中、経年からかM570がチャタリング&センサー不良と挙動がおかしくなってきたので買い換える事に。
そのままM570でも良かったのですが、機能や構造を昇華させた上位機種「MX ERGO」が出ているとの事なのでそちらを選択してみました。
開封の儀
到着しました「Logicool - MX ERGO」
相変わらずのシンプルなパッケージ。
近未来的で惹きつけられます。
内容物は以下の通りです。
- トラックボール本体
- Unifyingレシーバー
- 充電用USBケーブル(MicroB)
- 説明書
本体はこちら。
M570とは違いボディは艶消しの黒。
高級感があります。
ホイールには左右の傾き検知も搭載。
横スクロールも可能です。
ボタンのクリック感は、既視感というか既触感が...!
過去にSlimBladeに移植したオムロン製スイッチのD2F-01Fに似た感触です。
開いて確認しておりませんが、OEM製品が入っているのではないかと予想しています。
移植した記事は下記リンクから
ボタン以外のボディには滑りにくいゴム様の素材があしらわれています。
経年変化でベタついてこないか少々心配なところ。
ボールはややパールの入ったグレー。
ベンツのマウンテングレーのような落ち着いたキラキラ具合です。
ボール上部のボタンはプレジションモードが割り当てられており、マウスカーソル速度を落とす事が可能です。
精密なマウス操作をするときに重宝します。
今回の魅力はこの傾斜角度。
ニュートラルから20°の傾斜が設定可能です。
より自然な姿勢で使える為、筋活動量は20%軽減されるとの事。
この機能については後ほど詳しく書いていきます。
この機構は裏側のメタルプレートの傾斜によりなされます。
メタルプレートがボディ裏の磁石に張り付く事で傾斜が設定できます。
途中10°などで止める事はできません。
充電口はMicroB端子。
付属のケーブルを差し込む事で充電可能です。
充電中は緑色のランプが点滅。
1分間の充電で1日分(約8時間)、フル充電で約4ヶ月間使用可能です。
想像以上に高速充電なので、充電するの忘れていても焦りなく使えそうですね。
M570と比較してみました。
左が旧型機M570、右が新型機MX ERGOです。
M570のシャープさに対してMX ERGOはずんぐりしています。
重量はM570が142gに対し、MX ERGOは259gとやや重ため。
今回からメタルプレートが導入された事、電池ではなくバッテリー駆動となった事が原因でしょう。
写真ではわかりにくいですがMX ERGOのほうが少々背が高いです。
全体的にカーブがゆるやかに。
M570で薬指を置いてたであろうでっぱりもゆるやかになっています。
ホイールにはギザギザの溝が採用されています。
どちらのホイールもラチェットモードのみ。
カチカチと段階を踏んで回転します。
ボールの大きさに変わりはありませんが、M570よりもボールがしっかり嵌っています。
使用開始までのセットアップ
セットアップはとても簡単。
WindowsもMacも同様、メタルプレートにくっついているシール通りに設定すればOKです。
まずはLogicool公式から「Logicool Options」をダウンロードし、PCにインストールします。
あとはLogicool Optionsの指示にしたがって操作していけば完了します。
接続方法はBluetoothか、レシーバーを介したUnifyingで選択可能です。
私のPCはBluetooth非対応なのでUnifyingレシーバーを使用しました。
ちなみにこのレシーバー1つだけで最大6台までの対応デバイスを接続できます。
試しにM570も接続してみましたが問題なくペアリングできました。
USBポートの少ないPCでは重宝しそうなありがたい機能です!
さらには今回のMX ERGOから「Easy-Switch」という機能が採用されており、同時に2台のPCに接続できます。
中央のスイッチを押すことで接続したPC間にて使い分ける事ができます。
複数のPCを操作する方には大変使い勝手が良さそうです。
拡張性を高めるLogicool OptionsとFlow機能
セットアップ時にインストールしたLogicool Optionsを使用すれば拡張性はグンと高まります。
各ボタンの機能の変更はもちろん、アプリごとに配置を変えるといった設定も可能です。
キーストロークにより割り当てもできるので、ショートカットキーを配置して作業の効率化を図る事も可能です。
さらにはFlowという機能が大変優秀です。
簡単に言うと「Logicool Options」を介して同じWi-Fiまたはイーサネットワーク内のPC間を、デュアルディスプレイのように自由に行き来することができます。
PC①のデータをコピーし、PC②へ張り付けるといった作業ができるのでファイルの移行が簡単にできます。
DTMerやイラスト等の仕事用PCからプライベート用のPCへ移す等、複数のPCを操作する方には大変重宝する機能です。
よりナチュラルに、よりストレスレスへ
ここからは実際の使用感を書いていきたいと思います。
昨今のエルゴノミクスブーム(?)には謎めいた作りのものも多々ありましたが、今回のデザインには納得です。
先述の通りMX ERGOの魅力は、この滑らかなボディと僅かな傾斜角度にあります。
いきなりですが、デスク上に前腕を上げ力を抜いてみてください。
はい、その姿勢!
まさにそのリラックスした腕の形(前腕の傾き具合・指の丸まり具合)にMX ERGOがフィットするようになっています。
握ってみると「なるほど!」と納得できる心地良さです。
一般的なマウスでは、前腕を内側に回す(回内)という動作を大きく行いマウスを握っています。
この姿勢自体、指や肩回りに勝手に力が入ってしまいやすい動作です。
そんな姿勢のままマウスパッド上を行ったり来たりした結果、腱鞘炎や肩凝りにつながってしまいます。
今作のMX ERGOでは、これら筋の緊張に関与する問題点をほぼ是正。
20°の傾斜角があるので、前腕を大きく回す動作も必要ありません。
ボールを動かすので、マウスパッド上を動かす必要もありません。
「通常のパソコン用マウスに比べ筋緊張を20%軽減」と公式は謳っていますが、むしろもっと緊張緩和しているんじゃないかと思えるほど快適です。
ここらへんが詳しく知りたい方は、代償動作(トリックモーション)や、Anatomy TrainsのArm Lineを調べてみると面白いかもしれません。
メンテナンスはほとんど必要なし
トラックボール共通の問題点といえばボールとセンサー間のメンテナンス。
使用に伴いセンサーととボールの間にホコリが溜まり、ボールの動きを感知しなくなる時があります。
こういったときにはボールを一度取り出して、ティッシュ等でゴミを除去しなければなりません。
きっとトラックボールユーザーはうんうんと頷いている事でしょう(笑)
しかしMX ERGOではボールとボディの隙間が狭いためかメンテナンスがほとんど不要なようです。
3週間ほど使用しましたが今のところ一度もゴミ除去せず使い続けています。
ボールはM570同様、ボディ後ろの穴に棒を突っ込めば外すことができます。
しっかり嵌っている為か、少々力を入れて押さないと外れません。
余談ですが、ボールの動き自体が悪い場合にはギタリストご用達の「Finger-ease」をボールに塗布すれば滑らかになります。
ノーメンテナンスのまま使い続けられるのはとてもありがたいです。
実際に使用してみて感じた気になる点
ここまでお読みいただいた方は「最強のトラックボールじゃないか!」と感じているかもしれませんが、実際に使用してみて感じる気になる点がいくつかあります。
1.手が離しにくい
この構造ゆえの問題、握っている事が自然すぎて手を離しにくく感じます。
贅沢な悩みなのでしょうか(笑)
通常PCで作業している際には、ずっとマウスを握っている事なんてほぼありません。
右手はマウスとキーボードを行ったり来たりする事が多いと思いますので、厄介に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
2.ボタンカスタマイズ実際には使わない
せっかくのカスタマイズ機能ですが私は使用しませんでした。
このマウス自体それぞれのボタンに「右クリック」や「戻る」などの重要な役割を担っており、唯一使わないのはプレジションボタン(精密モード)だけかと思います。
かといってこのプレジションボタンに他操作を追加すると、トラックボールを操作している時に指が当たって誤作動で機能してしまう事がありました。
結局ニュートラルな、デフォルトのカスタマイズのまま使用しています。
3.スクロール速度が設定できない
私はスクロール速度をかなり早めに設定するのが好きなのですが、Logicool Optionsではポインタの速度は変更できてもスクロールの速度は変更できません。
縦の長いページでは何度もスクロールするか、スクロールボタンを押してページダウンする必要があり少々煩雑です。
M570、MX ERGO、SlimBladeどれがいい?
TwitterにてMX ERGO買ったよ!とツイートした際には、「M570とSlimBladeとMX ERGO、買うならどれがおススメ?」とたくさんの質問を頂きました。
なるほど、王道の3機種で迷っている方が多いのですね...!
土俵は違えどそれぞれの機能を比較してみました。
個人的には、この表の通りSlimBladeがもっとも良かったです...!
MX ERGOでは傾斜角度20°と説明がありますが、SlimBladeでも同様の姿勢で作業できます。
しかもボールが大きいので、親指だけでなく全ての指で操作できます。
MX ERGOほど握り込むようなポジションにもならないので、マウスとキーボード間も行き来しやすい。
だからこそMX ERGOよりも極めて僅かながら疲労感も少なく長時間作業する事ができました。
さらには左右対称のデザインなので、ボタン配置を変えてしまえば左利きの方でも使用できます。
拡張性も、SlimBladeのほうはスクロール速度の調整は可能ですし、ボタンの同時押しでのキー配置等も可能でした。
強いて気になる点を挙げるとすれば、有線の煩わしさと持ち運びなど一切考えていない点のみ。
さきほどの質問に対しては、「持ち運びと値段を加味するならM570、持ち運びと快適性を求めるならMX ERGO、とことん操作性と快適性を求めるならSlimBladeがおススメ。」とお返事させていただきました。
まとめ
MX ERGOのたくさんの魅力と気になる点について包み隠さずご紹介しました。
- WindowsとMacをサポート
- 接続方法は同梱のレシーバーを介したUnifyingもしくはBluetooth
- M570譲りの人間工学的デザイン
- マウス本体の傾斜角度を0°もしくは20°に変更可能
- ホイールはスクロール・ミドルクリックだけでなく左右への傾き操作も検知
- バッテリー駆動のため電池不要
- MicroBタイプのUSBで充電、1分充電で8時間、フルで4ヶ月使用可能
- 「Logicool Options」でボタンカスタマイズ、アプリ毎の個別設定等可能
- Flow機能でPC間のデータ移行も簡単
- 持ち運びと快適性を求める人にはこれほど良いマウスはないのでは!
何をもって優秀とするかは人によって異なるとは思いますが、重要視する要素が合致すれば最高のマウスになり得るのではないでしょうか。
あとがき
今回はMX ERGOについて細かくレビューしていきました。
少々辛口だったかもしれませんが、私の率直な感想を書かせていただきました。
私はM570後任として、PCから離れた環境にてガンガン使っていこうかと思っています。
先述の通り、持ち運びと快適性を求めるならこれほどまでに適したマウスは無いと思います。
販売より少々時間も経って値段もこなれてきた現在。
腱鞘炎や肩凝りに悩んでいる方は、治療費だと思って検討してみてはいかがでしょうか。
理想のトラックボール探しの参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。