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コードバンの光沢感を蘇らせたい。
以前某中古ショップに行った際に、サイズぴったりなALDENを見つけました。
相場の中でも安価な代わりにコードバン表面はケバケバ。
かつてあったであろう光沢感とバーガンディの輝きは消えてしまっています。
今回はそんな毛羽立ったコードバンを復活させるべく、コードバン表面をヤスリがけする「コードバン脱皮」を行いました。
過去にコードバン脱皮を挑戦した際には紙ヤスリのみで行いましたが、今回は「忙しくても泣き言を言わないのブログ」さんにて拝見したメラミンスポンジも使用して挑戦してみました。
(真似される方は自己責任でお願いします。)
コードバン脱皮チャレンジ
「コードバンにヤスリをかける」という文面に衝撃を受けた方も多いかもしれませんが、コードバンに再度ツヤを出すには大変有効な方法です。
コードバンはカーフレザーと違い、銀面が浮くいわゆる「銀浮き」をしない代わりに表面が毛羽立ちます。
こんなかんじに。
このケバケバが光を乱反射させ、光沢感のない霞んだような表情になります。
極めて軽度の毛羽立ちであればアビースティックやかっさ棒などで押し込む事で改善されますが、ここまで酷いと改善が見込めません。
そんな時に毛羽立った表面のみヤスリで削って光沢を蘇らせる、いわば荒療治な方法がコードバンのヤスリがけなのです。
コードバンの個体差によっては毛羽立ちにくいものもありますが、そんな個体差の差を埋められる手法でもあるように思います。
はてなブログではどんな検索ワードで私のブログに飛んできたのか分かりますが、「オールデン ヤスリ」でアクセスされる方が結構いらっしゃいます。
こうしてみると、コードバン脱皮の知名度としてはそこそこにあるようです。
私が過去にコードバン脱皮チャレンジを挑戦した際には紙ヤスリのみで行いました。
コードバンを削るリスクに対する多大なリターンは確認済みです(笑)
今回新たに試すメラミンスポンジは、先述の通り「忙しくても泣き言を言わないのブログ」さんの記事にて拝見しました。
ケア前後の比較がすさまじい!
見事なまでに光沢感が蘇っているのが伺えます。
紙ヤスリと違って曲面でも作業しやすそうですし期待が高まりますね。
私は激落ちくんではなく、家に残っていた100円均一のメラミンスポンジを使用します。
状態確認
コードバンの脱皮を始める前に、現状を見てみます。
アッパーの履きシワ部分・トゥの部分の毛羽立ちが特に顕著です。
Alden型番からバーガンディコードバンのはずですが、黒色かと錯覚するほどに色は濁っています。
この黒いものは汚れなのか雨ジミなのかわかりませんが、落ちてくれたらありがたいです。
コードバンにヤスリをかける
かわいそうな現状を脱するべくさっそく手入れしていきます。
1.汚れ落としと毛羽立ちケア
まずはド定番。
ブラッシングで埃を落とし、ステインリムーバーで汚れを落とします。
光沢が落ち着きスッピンになりました。
一応アビースティック・かっさ棒変わりにリップクリームのフタで毛羽立ちを押さえておきます。
左足だけやってみました。
このアビースティックの毛羽立ちケアは有効ではないと考える方もいらっしゃるようですが、こうしてみると相当な変化があるように私は思いますがいかがでしょうか。
もちろん忘れずに右足もやっておきました。
2.1000番ヤスリがけ
さぁここからは紙ヤスリの登場です。
まずは紙ヤスリ1000番。
水研ぎをするとシミになってしまうのでそのまま磨いていきます。
気になる毛羽立ち部分を中心に、満遍なくヤスリがけしていきます。
何度コードバン脱皮をやってもこの瞬間は焦ります(笑)
やってしまった感がすごいですが大丈夫です。
あとからヤスリの番手を上げていけばキズが見えなくなります。
3.2000番ヤスリがけ
次に2000番。
こちらも1000番同様に満遍なくヤスリをかけて行きます。
削り粉を払っていない状態でも徐々に光沢感が戻ってきたのがわかります。
2000番でみがき残した部分があると3000番で磨いてもキズが消えないので、1000番のヤスリがけで付けた傷はカバーするように磨きます。
4.3000番ヤスリがけ
同じく磨いて行きます。
いかがでしょうか!
すでに美しい光沢感が出てきました。
ストレートチップのトゥ部分の黒い部分は汚れだったようです。
擦れば落ちそうですね。
コードバン地のバーガンディーに黒い汚れが斑点のように出てしまっているので、改めて1000番に戻って磨こうかなと考えつつ次の工程に行ってみます。
5.メラミンスポンジがけ
新たな試みのメラミンスポンジです。
せっかくこんなに光沢感が出てるのにメラミンスポンジはどうなんだろうと思いつつ磨いていきます。
予想通りスポンジ状なので曲面が非常に作業しやすいです。
あっという間にスポンジの粉だらけになりました。
この粉を払ってブラッシングすればテカテカに蘇るはず!
高まる期待とともに粉を払ってみました。
あ...れ...?
なんか思ってたのと違う...!
光沢感はむしろ最初よりも悪くなっているような気さえします。
強くこすりすぎちゃったのかな。
さらにケバケバになってしまいましたが、トゥ部分の黒い汚れは落ちたので良しとしましょう(笑)
6.再度ヤスリがけ
改めて工程2~4同様に1000から3000番までヤスリ掛けをしていきます。
再度1000番からヤスリがけをしていて思いましたが、凹凸が消えないのなんの!
メラミンスポンジでの磨きは体感240~400番のヤスリ相当に思いました。
さきほどの3000番の時よりも光沢感は確実に落ちてしまいましたが、このくらいにしておきます。
作業開始より満6時間。
私の気力と体力が持ちませんでした(笑)
一般的なケアをする
ヤスリがけはそこそこに、ここから一般的なケアを施していきます。
1.デリケートクリームで潤いを与える
メラミンスポンジと紙ヤスリによって失われた潤いをクリームで補給していきます。
クリームを与える順番は水分量の多いクリームから順に塗布していくのが鉄則ですので、まずはデリケートクリームから。
ブラシで少量取り全体にブラッシングして広げます。
少し時間をおいたのちに余分なクリームをネル生地(布)で拭き取る。
全体的にコードバンがふっくらとしました。
2.靴クリームで光沢感を付与する
お次は靴クリームで潤いと主に光沢感を与えていきます。
ヤスリ跡のほかに小傷やクラック等も見受けられる個体だったので、コロニルのシュークリーム(ワイン)を選択。
米粒大ほど取ってブラシで全体に広げ、少し時間をおいた後にブラッシングします。
あとは余分なクリームをネル生地でふき取ればこの通り。
見事な光沢感が蘇りました!
ぱっと見では小傷もわからないくらいになったかなと思います。
靴紐も付けました。
3.ワックスで鏡面磨き
この工程はお好みですが、今回も鏡面磨きをしていきます。
鏡面磨きは美しく見えるだけでなく、傷つきやすいつま先部分の保護にも効果的です。
手順は以前の記事同様です。
ワックスを薄く何層にも塗り、乾いてきたらネル生地に極微量の水分をつけて伸ばしていきます。
コードバンは革表面の凹凸が少ないのでカーフレザー以上にワックスが乗らず難しいです。
職人さんはワックスを叩くように乗せるのを見たことがありますが、素人にはなかなかできない技ですので、じっくり時間をかけて私は磨いています(笑)
好みの光沢具合になったら完成です。
脱皮・ケア前後の比較
最初の状態と比較してみていきましょう。
【ビフォー】
【アフター】
光沢感とともにバーガンディーの輝きが戻ってきました。
【ビフォー】
【アフター】
【ビフォー】
【アフター】
俯瞰でも正面から見ても美しい光沢感です。
「バーガンディコードバン」としての威厳が蘇ったのではないでしょうか。
あとがき
今回はメラミンスポンジという新たな試みのもと、コードバンの脱皮に挑戦してみました。
実際にやってみて、落としたい汚れがある場合にはメラミンスポンジで磨き、その後に紙ヤスリで磨いていくのがベストかなと思いました。
メラミンスポンジをもっともっと軽くこすれば良かったのかな...。
想像以上に悪戦苦闘のコードバン脱皮になってしまいましたが、最後には美しく戻れたので結果満足です(笑)
今後フォーマル・カジュアル関係なく大活躍していきそうです。
先述の通りコードバンのヤスリがけはリターンだけでなくリスクを伴う作業ですので、真似される方は自己責任でお願いいたします。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。