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休日のうちに時間のかかるケアをしておきたい
お盆を挟んだ大型連休後半。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
明日から仕事や学校に引き戻される現実を受け入れたくはありませんが、お互いに頑張っていきましょう。
ちなみに私は夏風邪に苛まれてしばらく酷い目にあっておりました(笑)
なんて悲しい連休だったんだ...。
閑話休題。
さてさて、今回はご要望頂いた革靴のトータルケアについて、私なりの方法でご紹介していきたいと思います。
10人寄れば10通りのケア方法が出る界隈ですので、気に入った部分だけでも参考にしていただけましたら幸いです。
ケア前の状態確認
今回ケアする靴は某靴のマスターロイドです。
Crockett&Jones工場製で、ハンドメイドラインに並ぶクオリティと専ら評判らしいです。
厚いカーフから磨く前で革質の良さを感じます。
全体的に小傷はありますがそこまで汚れている方ではありません。
用意する物
後日談ですが、トータルケアという事で様々な道具を使いました。
- M.MOWBRAY - ソールモイスチャライザー
- BootBlack - エッジカラー(コバインキ)
- M.MOWBRAY - ステインリムーバー
- ハンドラップ(水)
- M.MOWBRAY - トラディショナルワックス
- Collonil - シュプリームクリームデラックス
- KIWI - シューポリッシュ
- Collonil - シュークリーム(靴クリーム)
- ブラシ各種
- ネル生地(布)
- シューキーパー
こうして並べてみると想像以上にたくさんの道具を使っていますね(笑)
ここまでケア用品に投資して、どこまで靴は綺麗になるのかという変化も楽しみにしていただけましたら幸いです。
それではさっそくケアしていきます。
手入れしていく
1.ホコリを払う
まずは靴紐を外してシューキーパーを入れ、ブラッシングにてホコリを払います。
以外とタンと外羽根の間にもホコリが溜まっていますので忘れずに払います。
余談ですが、内羽根の靴は一番下の靴紐は外さずにケアをするのが適切と言われています。
なんでも閂(かんぬき)と呼ばれる繋ぎ目は内羽根の弱点ともいえる部分で、粗雑な開き方をすると真っ先に切れます。
中古の靴を見ていると結構ほつれていたり切れる寸前の物が見受けられます。
2.クリーナーで汚れを落とす
お次はステインクリーナーで古いクリームや汚れを落とします。
ステインクリーナーは各会社それぞれラインナップがあり洗浄力も様々ですが、困ったらとりあえずMモゥブレイ製のものを選択していけば間違いはないと思います。
物によっては革の染料まで落とすほど強力なクリーナーもあるのでご注意ください。
私は古かったり汚れている靴は右側のクリーナーを使いますが、今回はそこまで汚れていないので左側のMモゥブレイを使いました。
古いクリームや汚れは剥がれて光沢が軽減。綺麗になりました。
内側と靴底の汚れ落としにも使っています。
ここでも余談ですが、靴紐もステインリムーバーで拭いてあげると綺麗になります。
私はステインリムーバーで汚れを落とした後は、使っていないヘアアイロンで引っ張って真っ直ぐに伸ばしています(笑)
紐が綺麗に整っているだけでも古しい印象が無くなります。
3.アウトソールを引き締める
次はソールモイスチャライザーで靴底を手入れします。
少量出してブラシで靴底全体に広げます。
最初は緩いクリームですが完全に乾燥するとカチカチになります。
途中乾き始めたあたりで、かっさ棒やハンコの背中など固い物で靴底を押し込むとより効果的です。
これによって革底が固くなり、革靴のすり減りを防止してくれると同時に、いわゆる”返し”を増大してくれて歩きやすくなります。
歩行で推進力を生むウインドラス機構の補助的な役割ですね!
正直ここまでのケアが必要かと言われればそこまで重要性はありませんが、やるやらないの差は大きい影の引き立て役です(笑)
4.内側にも潤いを
忘れがちというかどうやってケアをするのかわからないというのが靴内側、インソールとライニングです。
ここにも革が使われているので、油分が無くなっていくとともにガサガサになっていきます。
年季の入った革靴がゴワゴワなのも内側のケアを全くしていないからですね。
ここは乾いたら固まってくれるシュプリームクリームが適切です。
少量ずつ指に取って塗り込んでいくだけでオッケーです。
内側がしっとりすれば靴への吸い付きが良くなって履き心地が格段に良くなります。
水分の多いクリームでは履き心地がねちゃねちゃになるのでご注意ください(笑)
5.浸透しやすいクリームで潤いを与える
ここからはアッパーのケアに入っていきます。
靴クリーム塗布の前にやっておきたいのがデリケートクリームの塗布です。
靴クリームよりも油分が少なく水分が多いのでより深部まで浸透するとの事。
こちらのクリームも少量をブラシで伸ばします。
ブラシで広げた直後は光沢がなくなります。
あまりに浸透が良いので、塗った直後は「もしかして水シミ作っちゃった!?」と心配になりますが乾けば跡はなくなります(笑)
乾燥後にブラッシングすると光沢が出てきます。
靴つま先の光の反射がより鮮明になったのがお分かりいただけますでしょうか。
靴磨き好きな方はここらへんからテンション上がり始めますよね(?)
光沢をしばし楽しんだ後は乾いた布(ネル)で軽く乾拭きして余分なクリームを拭き取ります。
6.靴クリームで補色と光沢を付与する
お次は靴クリームです。
一般的には靴の色より1トーン明るい色かニュートラルを選択するのが適切と言われています。
今回は小傷を誤魔化すための補色も必要なので、一番手前のライトブラウンを選択。
クリームを米粒大ほどブラシにとり、時間をかけてブラッシングします。
その後布(ネル)で余分なクリームがつかなくなるまで乾拭きすれば完了です。
どんどん光沢が出てきました。
この段階で外羽根を広げる工程は無くなるので、靴紐を通しておいても問題有りません。
7.鏡面磨き
革に負担はかけたくないので少々悩みましたが、鏡面磨きまでしてしまいましょうか!
せっかく明るいライトブラウンカラーの革なので、トラディショナルワックスのナチュラルを使用していきます。
鏡面については以前書いた記事と同じ方法にてやっていきます。
何度も薄く塗って鏡面のベースを作り、水を微量含ませた布で小さなマルを描くように何度も磨く。
次第にマルの境目が分からなくなっていきます。
これを両側やればこんな感じに。
見違えるほど綺麗になりました。
8.コバの手入れ
つま先部分の鏡面に惹かれると、おのずとまわりのコバの汚さが目につきます。
普段歩いている時に真っ先に引っ掛けるのはこのコバの部分ですからね。
ところどころ色が剥げたり、端の部分はささくれ立っています。
ここはコバインキと靴用ワックスでケアしていきます。
コバインキは水性なので、このままでは水溜り付近を歩くと落ちてしまいます。
そこで油性の靴用ワックスを使ってパックしてしまおうという方法です。
まずはザラつきが酷い部分を400番の紙ヤスリで磨き滑らかにし、コバインキを少量ずつ塗ります。
あとは靴用ワックスを鏡面磨き同様に何度も塗ってベースを作り、水を微量含ませた布で磨きます。
できた!
お疲れ様でした、これで全ての工程が終了です。
ケア前後の比較
ケア前の写真と比較して見ていきます。
【ビフォー】
【アフター】
光沢の度合はいかがでしょうか。
【ビフォー】
【アフター】
同じ環境で撮影していますが、1トーンほど明るくなった感じがしますね。
見違えるほど綺麗になったのではないかなと思います。
【ビフォー】
【アフター】
つま先周辺の小傷も鏡面の反射なのか傷なのかもわからない程度です。
俯瞰からも美しく見えます。
脳内がセロトニンで満たされる瞬間です(笑)
あとがき
今回はご要望頂いた革靴のトータルケアについて私なりの方法を書いてみました。
普段は手順1→2→6→7という靴クリームからの鏡面磨きという手抜きメンテナンスですが、時間がある時には本記事通りにすべてにケアしています。
時間はかかれど満足感は確かに得られます(笑)
初期投資にお金はかかりますが、ケア用品はそこまで減らないので持っておいて損は無いかなと思います。
先述の通り、革靴のメンテナンスは10人寄れば10通りのケア方法が出る界隈ですので、参考程度にしていただけましたら幸いです。
ステインリムーバー使わない派の方の意見なんかも調べてみると面白かったりします。
今回使用したメンテナンス用品も下記に纏めましたのでご活用いただけましたら幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。