ウイスキーコードバンのチャッカブーツを入手した
中古靴店で運命的な出会いが!
ALDEN - 1348
そうです、ウイスキーコードバン仕様のチャッカブーツモデルです。
状態はあまり良くありませんでしたが、ウイスキーコードバンとは思えない安さだったのでついつい購入してしまいました。
明るいコードバンカラーゆえにゴワつきや傷・シミが目立ちます。
せっかくの美しいウイスキーカラーなのでエイジングしても維持していきたい...!
そこで以前から気になっていた無色のシュプリームクリーム+有色の靴クリームによるエイジングを3ヶ月ほど試してみました。
ケア方法の1つとして参考になりましたら幸いです。
繊細すぎるウイスキーコードバン
農耕馬の臀部から作られるコードバン。
画像引用:https://aldenarmy.com/post/180158569663/snake-oil-provisions-alden-ptboot-whiskey-shell
農耕馬はムチで臀部を叩かれる事から傷がついた個体が多いため、黒やバーガンディといった濃色のコードバンが作られます。
しかし極めて稀に傷やシミがない個体が存在し、これらは極めて薄い染色で仕上げられます。
いわゆる希少カラーと言われるコードバンの誕生です。
画像引用:https://www.stitchdown.com/brands/alden/matt-gray-profile-alden-rare-shell-cordovan/
中でもウイスキーコードバンは希少カラーの中で最も明度の高い色味であり、非常に綺麗な個体でないと生産できません。
画像引用:https://www.oaleathersupply.com/products/horween-leather-cavalier-whiskey-4-5oz
確率として1万頭に1頭。
革のダイアモンドの中のダイアモンド、希少性の塊のような革です。
そんな明るいカラーのウイスキーコードバンだからこそ傷やシミが目立ち、ケア製品や方法によって大きく色味が変わっていくのです。
エイジングこだわり派には堪らない素材です...!
私が今回購入してきたチャッカブーツはご覧の通り。
傷・シミやゴワつきはあれどウイスキーコードバン特有の明るさは健在。
さっそく革のダイアモンドの再起を図りつつ、美しいエイジングを目指したケアを施します。
手入れしていく
さっそく手入れしていきましょう。
まずは基本。
靴紐を外してシューツリーを入れ、革をブラッシングしていきます。
コバ・アッパーの境目やタンの付け根にチリがたまりやすいので、忘れずに掻き出します。
この工程をおろそかにすると靴クリームの入りにムラができてしまいます。
適切なエイジングを目指すためにも外せない工程です。
お次に古い靴クリームと汚れを除去します。
今回使用するのはステインクレンジングウォーターです。
ちなみにM.MOWBRAYは通常ラインでステインリムーバーという商品を出していますが、こちらはPRESTIGIO(プレステージ)ラインです。
プレステージたる所以はこの手の商品には必須だった有機溶剤を一切使わず、天然素材のみで構成されているためだとか。
長期使用によってコードバン色が曇る可能性が少ないため、希少カラーを愛してやまない方には必須アイテムのようです。
私もここぞといいう時や希少な革製品のみに使用しています。高いからね。
使い方は通常のステインリムーバーと変わりありません。
クロスに少量つけて革をこするだけです。
お次はアッパーのゴワつきを直していきます。
今回の主役といっても過言ではないコロニルシュプリームクリームを塗布していきます。
これの良いところは塗布直後は伸びやすいうえ革に浸透しやすく、時間が経つとクリームが硬化して光沢が出てくるところです。
ほとんどの革に使用できるというところも愛してやまないポイントです。すき。
こちらはブラシで米粒大ほど取り、全体的に伸ばしていきます。
塗布後は少々時間をおいてか綺麗な布で余分なクリームを拭き取ればOKです。
このままアッパーのシワを伸ばしていきます。
革伸ばし用のアビィレザースティックもありますが、かっさ棒で十分です。
伸ばしたいシワ部分にかっさ棒を当てゴリゴリ擦っていきます。
さきほど塗布したシュプリームクリームのおかげでアッパー表面が潤っているのでシワが伸ばしやすいのです。
時間をかけて擦るほどにシワが伸びるのでゆっくりゴリゴリする事をおすすめします。
興味のない方にとっては理解し難いかもしれませんが、靴好きにとっては至福の時間です(?)
コードバン上に擦った後が残りますが、ブラッシングすれば綺麗に消えるのでご安心を。
あとは靴紐をつければ通常のお手入れとしては十分です。
ですが今回はクリームをあわせてどれくらいのエイジングが生じるのかを検証していきたい所存。
有色の靴クリームを使用していきます。
使用するカラーはコロニルのライトブラウン。
ウイスキーコードバンの色味を濃くしたくないので、アッパーの色より1トーン明るい色を選択しました。
極めて少量ブラシで取ります。
あとはブラシで全体に広げます。
なおさきほどシュプリームクリームを先に塗布したのも理由があり、後から有色の靴クリームを入れる事で色が入りすぎず革色の保全につながります。
ほい、できた。
ふむ、良いのではないでしょうか...!
最後に色落ちしたコバ部分にエッジカラーを塗布します。
これにて全行程終了です。
革の光沢感が戻り、全体的に発色が良くなった印象です。
シワやシミの目立つ部分がちょこちょこありますが、着用にはまったく気にならないレベルです。
あとはこの手入れを継続してどれくらいウイスキーカラーが変化するのかを検証していきます。
願わくば濃い色にはならないでほしいところ...。
3ヶ月間エイジングさせてみた
という事で手入れを1週間半に1度ほど実施しながら3ヶ月ほどエイジングさせてみました。
エイジングにしては少々期間は短いですが、思った以上の効果があったので終了しました。
基本的な手入れの流れは以下の通りです。
- ブラッシングでチリ払い
- ステインクレンジングウォーターで汚れ落とし
- シュプリームクリームの塗布
- かっさ棒でシワ伸ばし
- 靴クリームの塗布
- コバの色落ちがある時のみエッジカラーを塗布
前項で施したほぼそのままで、エッジカラーは稀に使った程度でした。
3ヶ月の末、このようになりました。
うーむ!
かなり良いエイジングなのではないでしょうか。
光沢が強くなり、心なしかウイスキーカラーの発色が良くなったように思います。
傷やシミ部分も少しずつ馴染んできているような感覚です。
このまま手入れし続けたら殆ど同化するのではないかなと期待しています。
せっかくの希少カラーなので維持していきたい
短い期間ではありましたが、思った以上の良い効果で驚きました。
今回実施したシュプリームクリームの塗布+靴クリームによる手入れは、希少カラーの維持を目指す方々がよく取り入れている技法のようです。
検証という意味も含めて常に同じライトブラウンの靴クリームを使用しましたが、好みの革色に合わせて靴クリームは無色と有色(補色)を適宜選択していくのがベストのように感じます。
もちろんウイスキーコードバンだけでなくラベロやシガーコードバンといった希少カラーでも、バーガンディやブラックといったよくあるカラーでも使えるエイジング方法です。
面倒な方法でもないですし、ケア方法の1つとしてエイジングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。